2020.09.30 【電波新聞70周年特集】環境CO₂排出量削減へ

ニチコンがマレーシア工場内に設置した、EV急速充電器と公共・産業用蓄電システム

 現在の業界では、気候変動問題をはじめとした環境保全を意識した事業活動が重要性を増している。

 エレクトロニクス企業は、気候変動原因の一つとされるCO₂の削減に向けて、再生可能エネルギー機器の高効率化や機器の省エネ化追求、ゼロエミッション、さらに環境負荷物質管理など、様々な観点から環境活動を強化している。

 エレクトロニクス各社は、事業活動での環境活動に積極的に取り組んでいる。気候変動対策として、CO₂排出量削減やゼロエミッション化、リサイクルなどの取り組みを推進。

 化学物質管理では、独自の環境負荷物質基準を策定し、法令以上に厳しい管理を課すことで万全な管理体制を敷く企業が多い。

 「SDGs」への取り組みも活発。

 SDGsは15年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で記載された16年から30年までの国際目標。

 SDGsの項目の中でも電子機器や電子部品メーカーなどでは、「環境活動」が重視される。環境への取り組みは、環境ニーズの世界的な高まりを背景に、今後ますます活発化する見通しだ。

 エレクトロニクス各社は、太陽光発電などの再生可能エネルギー機器の技術開発に力を注いでいる。

 一方で現在は、「卒FIT」の時代を迎え、自家消費型太陽光発電を家庭や工場、ビルなどに本格普及させることで、再生可能エネルギーの完全普及を目指すのがトレンドとなりつつある。

 これらを踏まえ、蓄電池やスマートグリッドを組み合わせた最適なエネルギーミックスを提案する動きが活発化している。

 蓄電池は、液漏れの心配のない次世代蓄電池「全固体電池」の技術開発が加速。

 全固体電池は小型製品が一部用途で実用化済みだが、今後はEV向け大型全固体電池開発が本格化する見通し。

 電子部品各社の環境展開も活発化している。太陽光や燃料電池などの創エネ機器や、省エネ家電、蓄電システム、xEV向けに、機器の高効率化に寄与する新製品開発が進展している。

 太陽光関連では、パネルの発電効率や長期信頼性向上、作業性改善、低コスト化に寄与する部品開発に力が注がれる。

 パワコンの小型・高効率化に向け、小型軽量で低損失の中高圧コンデンサやパワーインダクタ、小型ハイパワーの抵抗器などの開発が活発だ。

 LED用では、色のバラつきを抑え、発光効率を向上させた照明用LEDパッケージなどが追求される。スマートハウス関連では、センサーと無線モジュールの融合による最適なIoTシステムの提案に力が注がれる。

 環境負荷材料技術の高度化も進む。LIB部材は、車や産業用の大型LIB向け部材開発、電池の高性能・高効率化・長寿命・低コスト化を促進する製品開発が進展しており、全固体電池向けの展開も活発化する見通しだ。

 このほか、近年クローズアップされているマイクロプラスチックによる海洋汚染の解決として、生分解性プラスチック開発が加速しており、今後の展開が期待される。