2021.04.16 温室効果ガス排出削減目標を大幅引き上げ富士通、30年度までに7割削減

使用電力のすべてを再エネに切り替えた富士通の川崎工場

 富士通は16日、2030年度までにグループ全体の温室効果ガス排出量を、13年度比71.4%削減に引き上げると発表した。同33%削減としていた従来目標からの上方修正となる。脱炭素化という世界的な潮流を踏まえて、50年度を目標に温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション」を実現することも目指す。

 温室効果ガスの排出削減に向けては、先端技術を活用した省エネルギー対策を加速する。電力を大量消費するデータセンター(DC)の省エネ対策については、すでに群馬県館林市の主力DCに人工知能(AI)を活用した空調の制御技術を生かしている。制御対象を拡大し、省エネを推進する方針だ。

 加えて、太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用も拡大。既に青森、熊本、大分3県にある事業所では、昨年4月に使用する電力の100%を再エネに切り替えた。今年4月には、グループ最大規模の川崎工場(川崎市中原区)も再エネ率100%を達成した。

 国内外の拠点で使う電力の再エネ率について30年に40%。50年に100%を達成する目標も打ち出した。

オンライン会見に臨む富士通の梶原執行役員常務

 菅義偉首相は、50年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言。国内企業の間で、国際競争力に直結しかねない温暖化対策に貢献する機運が高まる傾向にある。

 オンライン会見で、梶原ゆみ子執行役員常務はこうした動きを踏まえ、「DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることでグリーン化に貢献したい」と述べた。