2021.05.27 21年3月期連結決算エレクトロニクス商社、明暗分ける

中国製造業の活況もエレクトロニクス商社の業績を後押ししている

 エレクトロニクス商社の21年3月期(20年4月~21年3月)連結決算は、明暗が分かれる結果になった。リモートワークなど新しいビジネススタイルの定着に伴うICT関連、コロナ禍から立ち上がった中国製造業の需要などを取り込んで増収増益、中には過去最高益を更新するなど好業績を収めた商社がある一方で、減収減益、損失を計上した企業もあった。

 上場22社の合計では減収増益となった。20年3月期には前期比で売上高6・3%増、最終損益10.9%減だったことから、利益面は全体的に改善されたが、商社間の明暗は分かれた。

増収増益達成の商社

 マクニカ・富士エレホールディングスは増収・大幅増益だった。リモートワークなど新しいビジネススタイル、半導体製造装置の需要増、自動運転、人工知能(AI)、ネットワークのセキュリティー対策需要などを取り込んだ。集積回路や電子デバイスは、中国を中心とした5Gスマートフォンや自動車の電動化に向けたFA機器、半導体製造装置向けにアナログ製品などが好調に推移した。

 トーメンデバイスは、新規顧客開拓や既存ビジネスのシェア拡大により、パソコン(PC)向けやデータセンターストレージ向けDRAM、NAND FLASH製品の売り上げが伸長。国内で有機ELパネルの売り上げが伸びたほか、海外の高精細カメラ向けCMOSイメージセンサーの売り上げが伸びたことなどから増収となり、過去最高を更新した。

 東京エレクトロンデバイスも好調だった。半導体・電子デバイス事業は製品の販売が堅調に推移したことに加え、顧客商権の拡大が計画通りに進捗。ネットワーク、ストレージ関連製品販売に付随する運用・保守サービスも順調だった。このほかエレマテック、伯東、新光商事、イノテックなども増収増益となった。

減収ながら最高益更新

 加賀電子は減収ながら、売上総利益の増加や販売管理費の削減などにより営業利益、経常利益は2期連続で最高益を更新。当期純利益も前期比94・8%増とほぼ倍増し、2期ぶりに最高益を更新した。EMSビジネスは車載、産業向けで下期から需要が回復し増収。情報機器事業はテレワークなどの増加でPC・周辺機器、セキュリティーソフトの需要が伸長した。

 リョーサンは自動車向けなど上期の落ち込みが響き減収だったが、最終損益は政策保有株式の売却益や前期の一時費用の反動増などにより増益を確保した。

上期低調で減収減益

 レスターホールディングスは、新規ビジネスやシステム機器事業、発電などで堅調さが見られたものの、デバイス事業やEMS事業の需要低下の影響が大きく、減収となった。

 菱電商事は、FAシステムは半導体製造装置関連、工作機械向けが下期から中国市場を中心に好転。ICTシステムではネットワークシステム分野でコンポーネントビジネスが堅調に推移した。エレクトロニクスは、国内は自動車関連向けが下期に回復し、産業機器関連向けも下期後半から中国向けを中心に回復したが、前半の低迷をカバーするには至らず減収だった。

 立花エレテックは、FAシステム、施設、MS事業が減収減益、半導体デバイスは増収減益となった。海外事業はコロナ禍から早期に立ち上がった中国市場に支えられて増収。

 カナデンは不透明感による設備投資の抑制や事業活動の制限により、情通・デバイス事業を除き苦戦を強いられた。FAシステム事業の利益減少が大きく影響し減収減益だった。

 たけびしも減収減益となり、FA系を主力とする商社は、総じて設備投資抑制の影響を受けた。

損失を計上した商社も

 丸文は、微増収ながら、相対的に利益率の高い商品の売り上げが低調であったことに加え、期中の円高進行で円ベースの売上総利益が押し下げられたことにより営業減益となった。為替の影響による特別損失計上などで最終損益は21億円余りの損失だった。

 グローセルは、主要販売先である自動車分野の新車販売台数の減少、産業分野のインバーター・サーボモーターなど産業用汎用電気機器の出荷台数の減少などの影響を受けて減収、最終赤字を計上した。

22年3月期予想

 昨年はコロナ感染の拡大により、決算発表時点で22社中17社が通期予想を未公表としたが、22年3月期は全社が予想を公表した。多くが21年度を起点に中期経営計画をスタートしたこともあり、全体では増収増益を予測している。