2022.12.22 日立GLSがメーカー再生品の販売開始、直販サイト差別化の〝一手〟

リファービッシュ品の販売を直販サイトで10月から開始

 日立グローバルライフソリューションズが、直販サイトで自社製品のアウトレット品やリファービッシュ品(メーカー再生品)の販売に乗り出した。アウトレット品であれば、通常価格より3割程度安く買うことができる。性能に問題のないちょっとしたキズや汚れなどで、正規の販売ルートでは売りにくくなった製品を直販サイトで販売。廃棄する梱包材の削減や店舗への再配送にかかる環境負荷を低減する狙いもある。メーカー運営の直販サイトから買う利点や差別化を訴求する一環として、今後もシステムのブラッシュアップを進めていく。

 同社は現在、会員サイト「日立家電メンバーズクラブ」を運営する。同社製家電の購入者へのアプローチを中心に、登録することで、定期的にサポート情報や役立つ情報などを配信してくれるものだ。直販サイトの利用にも会員登録は必要になる。

 宮野譲取締役CMOは「今はまだメーカー直販のメリットを打ち出しきれていない。将来的にはさらなる進化も必要」と指摘する。

 その〝一手〟として取り組んでいるのが、アウトレット品とリファービッシュ品の販売だ。アウトレット品は2021年9月から、リファービッシュ品は今年10月から取り扱いを開始。家電量販店などに納品する過程でキズが付いてしまったことなどで、メーカーに戻された製品などを売り出している。意図して発生するものではないため、「全製品のうち1%以下の物量」(宮野取締役CMO)という。それでも、日立グループ全体で「グリーン」を経営戦略の柱に据えていることから、環境負荷低減を目指して取り組みを加速している。

 宮野取締役CMOは「アウトレット品を取り扱い始めてから、直販サイトの売り上げも伸びている」と話す。

 ただ、アウトレット品やリファービッシュ品はごく一部に過ぎず、劇的に利用を増やす効果は薄い。それら以外の製品についてはメーカーから直接購入する安心感はあるものの、実際的には価格メリットも低めだ。

 同社は、こうした状況を打開するものとしてカスタマイズサービスの整備を検討している。宮野取締役CMOは「オプションの部品や好きな本体色をパソコンから選んで買えるようにしたい。店舗では対応できないサービスを提供したい」と方向性を示す。

 直販は、ユーザーと直接つながるきっかけになる。ユーザー情報の把握だけなく、IoT家電を生かせば、リアルな使い方や次期製品の開発に生かせる情報も取得しやすい。直販に乗り出すメーカーが増える中、各社はユーザーメリットをどこまで打ち出せるか―。新たなサービスの実装など、直販サイトは今後も進化しそうだ。