2023.04.10 フィルム型デバイスで物流DX 京セラグループが今月から本格展開

 フィルム上のデバイスを貼るだけで、いつどこで開封されたのか一目瞭然になり、物流のDXにつなげる。そうしたソリューションを、京セラグループの京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が開発。4月からの本格展開を見込んでいる。段ボールに貼ることで、出荷から開封までの位置情報や開封状況を可視化できる。物流の省人化に対応するほか、在庫管理などにも活用されそうだ。

 開発しているのは、フィルム状の薄型Sigfoxデバイス「SeeGALE(シーゲル)」 。薄型・軽量・低価格を実現したもので、デバイスを段ボールに貼ることで、 出荷から開封までの位置情報や開封状況を可視化できる。

 物流現場には、「在庫管理をしたいがコストが高い」「RFIDなどでシステムを構築すると、設備や人員に多額の投資が必要」「エンドユーザーの消費状況まで把握できない」といった困りごとがある。

 また、自社倉庫の在庫は把握できても、販売店やユーザー企業までの追跡は難しい。さらに、「いま何が売れ筋なのか分からない」「需要予測が難しい。いつ、どこで、どの製品が消費されたか分かるといいが」といった要望がある。

 そうした課題に対応しようというのがシーゲル。

 貼って出荷すれば自動でトラッキングされる。梱包箱などに貼るだけで、出荷時や開封時、任意間隔でトラッキング情報を発信する。電池方式で約5年(月1回の定期通信の場合)の長寿命。読み取り装置が不要だ。

 貼って出荷すれば自動でトラッキング。Sigfoxのネットワークは、日本全国・グローバルで位置情報を取得できる。

 製品ごとの位置情報が地図上に表示され、在庫も売れ筋も見える化できるのも特長だ。在庫・開封状況がひと目で分かるダッシュボード機能を装備。拠点ごと、製品ごとに在庫数と消費数(開封数)を可視化することで、売れ筋製品の把握が可能になる。例えば、医薬業界では高価な医薬品を扱う。そうした物資の在庫状況を可視化でき、生産計画の制度が高められる。また持ち出し制限のある劇薬や治験薬などについて、在庫の管理ができ、不正な持ち出しなどを防ぐこともできる。

 ほかにも、特産品や高級ブランド品などが、登録されている所定の場所以外で開封されていないかどうか検知。正規の流通をトラッキングすることで、ブランド力を維持・向上する。

 物流以外にも、たとえばダイレクトメールの開封検知などを通じてマーケティングに役立てることもできる。試供品などは配達完了の確認はできても、消費者に実際に手に取ってもらえているかどうかなどは、わからない例が大半。「高価なクーポン類などでは特に、効果測定に役立つのでは」と担当者はいう。

(10日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報しています)