2024.09.27 【育成のとびら】〈34〉中堅社員の中長期の成長を支えるものとは 「職場文化」「上司の支援」「仕事内容」

 本連載の30~33回で、ミドルキャリア(社会人5~11年目の役職がついていない中堅社員)が直面する仕事の壁(困難)を取り上げてきた。「知識・スキルの壁」「仕事の量の壁」「上司の壁」という三つの壁が高く立ちはだかることと、それぞれの壁によって生じる葛藤や感情の違いを掘り下げた。

 では、これらの壁に直面するミドルキャリアは、どのような要素があれば成長を実感し、具体的な成長につなげていけるのだろうか。

 当社ALL DIFFERENTがラーニングイノベーション総合研究所と2023年9月に実施した「中堅社員の意識調査」で、自分の成長に役立ったと感じる会社の良いところを聞いたところ、「職場の雰囲気・文化」(27.5%)がトップで、「先輩からのサポート」(19.5%)、「上司からのサポート」(18.3%)、「配属先の仕事内容」(16.8%)と続いた(図1)。

 さらにミドルキャリアを前期(社会人5~6年目)・中期(社会人7~9年目)・後期(社会人10年目以降)に分け、成長の役に立った項目を分析すると、「職場の雰囲気・文化」「上司からのサポート」「配属先の仕事内容」が、ステージが進むにつれて割合が高まる傾向があった(図2)。

 この結果から「職場の雰囲気・文化」「上司からのサポート」「配属先の仕事内容」は、特に中長期的な成長に寄与すると言ってよいだろう。

持続的な成長

 新人・若手社員に比べて組織からの成長支援が薄くなりがちなミドルキャリアは、キャリアの見通しの不透明さや、求められる役割の変化、自身の評価に対する不安が顕在化しやすいステージだ。

 特に、さまざまな不安に見舞われるミドルキャリアでは、「職場の雰囲気・文化」は息の長い成長につながる重要な要素になる。社員の成長につながる職場文化の例として、チャレンジを認める風土や互いの学びや経験を共有する文化、コミュニケーションが活発な組織、社員が安心して業務に挑戦できる環境などが挙げられる。

 「上司からのサポート」の具体例としては、挑戦を支援する声かけや適時適切なフィードバック、定期的なキャリア面談などがある。

 成長につながる「配属先の仕事内容」は、部門間横断の仕事や業務改善、イレギュラーな仕事への対応といった、ストレッチな業務(本人の力量より難易度が高い仕事、背伸び業務)などが相当する。難易度の高い業務を、上司や先輩のサポートを受けて乗り越えることがさらなるキャリアアップの足がかりとなる。

 「育成の空白地帯」と言われるミドルキャリアだが、彼らが生き生きと成長し力を存分に発揮できる環境を整える仕組みづくりが、組織全体のパフォーマンスの向上に寄与していくことだろう。(つづく)

 〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉

 【次回は10月第2週に掲載予定】