2024.10.19 「中之島クロスを未来医療の拠点に」 未来医療推進機構の澤理事長語る

「中之島クロスは再生医療の拠点に」と語る澤理事長

 医療機関、企業などが一つ屋根の下で再生医療の産業化を目指す未来医療拠点「Nakanoshima Qross(中之島クロス)」が開業して3カ月半。大阪府と共同で同拠点を運営する「未来医療推進機構」の澤芳樹理事長は、研究開発から原材料の調達、サービスの提供、人材育成まで未来医療のエコシステム確立と産業化に受けての拠点にしたい、と熱っぽく語る。澤理事長(大阪大学大学院特任教授)はiPS細胞由来の心筋シートを用いた治療で知られる。

 中之島クロスは再生医療の産業化を進める新しい拠点として6月末大阪市北区に全面開業。製薬、医療機器メーカーなど約30社・団体が入居。京都大学iPS細胞研究財団も居を構える。93年に大阪府吹田市へ移転した大阪大学医学部と付属病院の跡地だ。

 「大学には多くの研究シーズがあっても生かされていない。研究成果の社会実装が必要」と澤理事長。社会実装実現のためには既存の企業だけの力だけでなく、将来性あるベンチャーやスタートアップの支援や育成が必要、そのコアになる役割を果たすのが中之島クロス、と澤理事長は強調。「ユニコーンが生まれてもよい」。

 同理事長の話の端々に「未来医療」という言葉が頻繁に出てくる。医療を取り巻く環境に即応しながら次の時代に実現すべき医療のことを指すが、ワンストップ機能を持たせることで中之島クロスは未来医療の拠点に育てるのが構想。

 澤理事長は大阪大医学部OB。それだけに中之島で約110年の歴史の医学部キャンパスがこの地を離れ、吹田市に移転したのは誠に残念という意識がうかがえる。しかし個人的な感傷ではなく、跡地に未来医療の拠点を設置して医学界に貢献したい、というのが澤理事長の本心でもある。
(詳細は後日の電波新聞ヘルスケア面に掲載予定です)