2025.05.21 サイバー攻撃への備え サイリーグHDなどセキュリティー専業2社が「事前契約型」サービスを7月投入
福留氏
セキュリティー事業を手がけるサイリーグホールディングス(サイリーグHD、東京都港区)は手口が巧妙化・高度化するサイバー攻撃の脅威に備え、企業や組織のレジリエンス(回復力)を高める新サービスの提供を7月に始める。セキュリティー監視サービスなどを主力とするS&Jと共同開発したもので、平時から回復力を磨き、万一の被害を最小化できるようにする。
サイリーグHDは、企業や自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)などを支援するチェンジホールディングスの子会社。サイリーグHDは20日に東京都内で開いた事業戦略発表会で、S&Jとの戦略的パートナーシップに基づき共同開発した新サービスを今夏に開始すると表明した。
新サービスの名称は、「CyLeague サイバーレジリエンス・パッケージ ~サイバー攻撃対応サービス~」。万一の攻撃を受けた際には、素早く的確に対応し、被害を最小限に抑える対応が求められる。
そこで新サービスでは、被害を受けた瞬間からセキュリティー専門チームが対応を始められるようにする。事故発生後に契約ベンダーを探す従来型とは異なる「事前契約型」だ。対象は従業員300人以上の企業や団体。予算管理しやすいよう、年間契約で提供する。
同日には、セキュリティー分野に精通したS&J社長の三輪信雄氏がサイリーグHDのエグゼクティブ・アドバイザーに就任。同社の経営陣と密接に連携し、セキュリティー事業の戦略策定や新サービス開発の支援を担うとともに、業界動向を踏まえた提言を行う。
発表会では、三井住友フィナンシャルグループと三井住友海上火災保険、サイリーグHD、イー・ガーディアンが2月に設立したセキュリティー対策支援の合弁会社「SMBCサイバーフロント」(同千代田区)についても説明した。
中堅・中小企業層に向け、「安心して相談できる入り口」を用意。定期的に顧客の状況をヒアリングし課題の可視化や方針の策定を支援する「アドバイザリー型コンサルティング」に取り組むとともに、顕在化した課題に対して最適な対策を提案していく。
また、サイリーグHDとしては、復旧フェーズを見据えて包括的に企業の事業継続を支援する取り組みを強化する方針だ。AI(人工知能)時代のセキュリティーなど次世代の展開も視野に入れていきたい考えだ。
チェンジHD社長でサイリーグHDの取締役も務める福留大士氏は閉会のあいさつで、「技術的にリスクをしっかりコントロールすることで安全を実現する」と述べ、顧客企業のセキュリティー対策を後押しすることに意欲を示した。