2025.05.27 電子部品40社、業績二極化 AI追い風に6割増益 25年3月期
電子部品40社の25年3月期業績合計
主要な電子部品メーカー40社の2025年3月期連結決算が出そろった。ICT・AI(人工知能)関連の需要を取り込んだ企業が増収増益となる一方、産業機器向け比率が高い企業では減収減益が目立ち、業績は二極化した。
売上高は26社が前年を上回り、このうち8社が2桁伸長。逆に2桁減収は7社だった。営業利益は23社が増益または黒字転換し、17社が2桁増益、11社は3割超の伸びを達成した。円安効果も追い風となり、経常、最終利益でもそれぞれ19社が増益・黒字転換したが、営業赤字は6社、最終赤字も6社に上った。
スマートフォンやAIサーバー、データセンター、ADAS(先進運転支援システム)が需要をけん引。車載はBEV(バッテリー式電気自動車)市場の減速、産機は調整局面の長期化が重しとなった。M&A(合併・買収)で事業を拡大した大手企業が総じて堅調で、過去最高益を更新したケースも少なくない。一方、中堅以下は為替や需要低迷を吸収しきれず苦戦した。
26年3月期は、円高想定や米トランプ政権の追加関税の不透明感から慎重な計画が目立つ。ヨコオと東京コスモス電機の2社が未定としたものの、残る38社の予想では売上高で20社が増収、営業利益で24社が増益または黒字転換を見込む。経常利益も21社が増益または黒字化を計画し、36社が最終黒字を確保する見通しだ。
業績のけん引役はAIサーバーやADAS、高機能スマホ、車載などの成長分野で、各社が進めてきた事業ポートフォリオ転換や生産性改善も利益体質を後押しする。産機は回復が遅れているものの、年央から下期にかけて需要の持ち直しに期待がかかっている。
40社合計では25年3月期売上高が前期比4.6%増、営業利益は同10.1%増と堅調だった。今期は2社を除く38社で売上高0.8%減、営業利益2.2%増となっている。先行き不透明感は強まるが、部品各社は高付加価値領域への集中とコスト構造の見直しなどで収益力を高める構えだ。