2025.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】丸文 システム事業、成長ドライバーに

堀越 社長堀越 社長

 丸文は国内外で3000社超の顧客、800社超の仕入れ先を持ち、デバイス(半導体、電子部品)、システム(電子機器・先端コンポーネント)、アントレプレナ(先端ソリューション)の3事業を展開している。

 半導体市場は調整局面が続いているが、堀越裕史社長は「在庫水準の適正化がかなり進んだのは確か。現状はまだら模様。市場回復は2026年度になるのでは」と語る。デバイス事業では4月にデバイス営業推進室を新設し、ロングテールの顧客への売り込み、拡販活動を強化。サプライヤーが期待する裾野の拡大も進める。

 システム事業は、成長ドライバーの位置付け。宇宙航空と医療・ヘルスケアの二つの分野への取り組みが中核となり、新中期経営計画(25年度からの3年間)でも重視している。

 堀越社長は「航空宇宙分野は活況を呈している。当社は最先端の海外製品を仕入れて紹介してきた歴史がある。競合他社との差別化が図りやすい」と意欲を示す。人工衛星向けの高信頼性部品に強みがある。取扱高も伸長しており、期待を寄せる。医療・ヘルスケア分野では、グループ会社で医療機器を取り扱う丸文通商(金沢市)の知識・経験を生かし、シナジーの向上を図る。

 アントレプレナ事業では、AI(人工知能)コミュニケーションロボット「Kebbi Air」が企業の受付や福祉・介護施設といった新たな市場を開拓。汎用(はんよう)超音波画像診断装置もクリニックや病院からの需要が高い。

 懸念されるトランプ関税の影響については「商社としてはお客さまの調達多様化に応えたい。中国のメーカーに加え、中国以外のアジア製品を発掘し、採用されるケースは増える」とみる。インドに関しては、半導体デバイスメーカーのL&TセミコンダクターテクノロジーズとMOU(基本合意書)を締結。日本市場での需要動向調査や製品開発支援を進めている。

 グループ間のシナジー向上は重要な経営テーマ。4月に「丸文グループコラボレーションフォーラム」を立ち上げ、各事業、関係会社の担当がディスカッションを行い、決定事項を実行に移している。