2025.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エイブリック リチウム電池保護など5分野に重点

田中 社長田中 社長

 エイブリックは、ミネベアミツミグループが掲げる中核事業「8本槍(やり)」の一つ、アナログ半導体事業を展開している。

 田中誠司社長は「2024年度に4期連続で売上高、利益が目標を達成したことが一つのハイライト」とし、営業利益率30%超で国内半導体メーカー最高水準とする外部からの評価には笑みで応じた。25年度は、米関税政策に備えた前倒しの購買が進んだ可能性に注意を払いつつも足元は好調とした。

 製品戦略は引き続きリチウム電池保護、車載電源、磁気センサー、エナジーハーベスト技術「クリーンブースト」、そして医療・高圧の5分野に重点を置く。

 24年度に譲受したソシオネクストの医療事業を生かし、取得した受信回路技術、ソフトウエア技術を、保有する送信回路、高耐圧スイッチ、高電圧IC技術と相合(そうごう)。成長市場のポータブル型超音波診断装置(エコー)を手掛ける世界中の企業と取引を拡大する。FPGAに比べ省電力の専用チップは、医療従事者を支援するエッジAIへの対応にも優位と見込む。

 エコー向けを含め、高利益率をけん引する新製品開発のため、24年度に二つの組織を設置した。製品戦略を立案する「プロダクトマーケティング」と製品戦略に基づき全社横串で製造、販売戦略を立案する「事業企画ユニット」で、「24年度の助走期間を経て25年度は本格稼働」(田中社長)する方針だ。

 25年度は新製品開発数、上市数を拡大させる。27年度には新製品比率を24年度比約2倍に拡大する計画。

 原動力となる人材面では、従業員の貢献意識を尋ねたエンゲージメント調査が23、24年度と2年連続で改善した。24年度は関連の取り組みとしてジョブベースのAJV人事制度を導入し、経営トップが各拠点で従業員と交流するタウンホールミーティングも始めた。

 25年度もこれらを生かして従業員のパフォーマンス最大化を図るが、事故ゼロや労災ゼロの継続、品質トラブル・装置トラブルの防止も変わらず重視していく。