2025.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】トレックス・セミコンダクター 中国市場に向け車載用電源ICを拡充へ

木村 社長木村 社長

 トレックス・セミコンダクターは小型、省電力、低ノイズの電源集積回路(IC)を手掛けている。

 木村岳史代表取締役社長執行役員は、2025年上期の半導体市況は横ばいとし、「産業機器の一部を除き顧客在庫の解消は進んだが需要はまだ低調」と語る。ただ、「産機は海外で動き始めた感覚があり、国内でも25年下期に立ち上がる」と期待。先んじてコンシューマー市場も動くとみる。

 米関税政策についてまだ直接の悪影響はないが、海外の一部顧客からコンシューマー向け製品の作りだめの駆け込み需要があった。

 製品戦略では24~26年度に車載向け電源ICを拡充する。特に中国の車載市場では過去にコンシューマー向けを使う時代もあったが最近は「信頼性の高い部品を求めるケースが増えた」と木村社長は商機を見いだす。既に60Vまで高耐圧化したが、今後100Vまでの必要も想定して開発を進める。

 小型化に役立つコイル一体型も車載や産業ロボット向けなどに注力し、40~60V製品の製品化を急ぐ。IoT向けの省電力な「XCL108」も新規投入するなど、多様な分野に同技術を生かす。

 半導体製造受託子会社フェニテックセミコンダクターは、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体を産機や自動車用高速充電器向けなどに広く展開。シリコン(Si)製品も海外顧客が戻って25年下期に向けた受注が拡大し、工場稼働率は前年同期より向上すると予測する。中国から生産を移す「チャイナプラスワン」も取り込む。

 ベトナムのパッケージ製造子会社は台湾パンジット・インターナショナルへの持ち分譲渡を協議中。インドは、現地の研究開発や製造の活発化を背景にシンガポール販売子会社が市場開拓するほか、日系商社とも連携する。

 ファブレスメーカーとして力を入れる人材分野では、新卒採用に加え、中堅層に大学院での技術経営(MOT)習得を通じて管理職としての成長を促す。事業を伸ばすための考え方も学んでほしいという。