2025.07.31 【家電流通総合特集】後半戦の取り組み シャープマーケティングジャパン 大山貞社長

大山 社長

エアコンなど省エネ家電 高付加価値品を重点販売

 2025年度に入り、4~6月期は、梅雨明けが早く夏物商品の立ち上がりも順調で業界全体が健闘し、当社も好調に推移した。特に当社では、ルームエアコンに加え、サーキュレーターが好調に推移した。

 サーキュレーターPK-18S02は大風量、優しい運転音、プラズマクラスター搭載、デザイン性などの独自特長を専用の店頭展示台でしっかりとお客さまに訴求でき、約2万円とサーキュレーターの中では高額なモデルながら堅調だった。

 一方で、テレビを含めたAV機器は、昨年のスポーツイベントで高まった需要の反動からか、当社を含め業界全体が苦戦している。

 こうした中、当社は高精細4K有機ELテレビ・4KミニLED液晶テレビのフラッグシップモデルを含む5シリーズ13機種を5~6月に投入した。分かりやすい商品特長に加え、訴求方法も工夫した結果、上位モデルは立ち上がりが良く、昨年と比べても手応えを感じている。

 調理家電も一段落していた需要がここにきて復調。食料品の値上がり以上に外食費がかさむようになり、家庭でおいしい食事を楽しみたいというニーズも強まって需要が伸びている。当社ではヘルシオ、ヘルシオ ホットクックが好調だ。

 25年下期に向けては、東京ゼロエミポイントなど、省エネへの取り組みがこれからも続くことを踏まえ、まずは省エネ家電、とりわけエアコン、冷蔵庫、ドラム式洗濯機というカテゴリーの高付加価値モデルを重点的に販売していく。

 13年に、猛暑と合わせ、消費税増税前の駆け込み需要もあって白物家電の需要が大きく伸びた。この買い替えサイクルが来年にかけて、そろそろ顕在化してくる。従来の買い替えサイクルは10年程度であり、23年ごろから買い替え需要がピークを迎えていたはずだが、近年の家電製品の寿命長期化を背景に、まだ本格的には顕在化していない。買い替え需要はこれから本格化するとみられ、これに備えた省エネ家電提案の準備をしっかり今から手掛けていく。

 AV機器についても、来年の大型スポーツイベントに向けて需要の盛り上がりが期待できることから、しっかり需要を取り込む準備をしていく。

 後半戦に向けての重要なキーワードは、生成AI対応家電の提案だ。今後シャープでは生成AI対応家電の拡充を図っていくが、その第1弾としてウォーターオーブン「ヘルシオ」AX-LSX3C/RS1Cを6月に発売、AX-N1Cも8月26日から投入する。

 生成AIを使い音声対話できるアシスタントサービス「クックトーク」に対応し、AIが料理に関するさまざまなアドバイスをしてくれるため、今まで調理の経験がない人でも本格的な料理を作れる。

 店頭では、こうした使いやすさをボードで分かりやすく説明するなど、しっかり訴求していく。スマートフォンを使った実演にも取り組みたい。

 理美容関連の提案にも力を入れたい。需要が高まる中、展示什器(じゅうき)を刷新して訴求を強める。

 キャラクターが好評のサンリオフェアを昨年から展開しているが、販売店からの評判も良く、地域の合展・個展や量販店店頭などで、今期の実施回数は昨年度の2倍の実績となった。秋商戦でも引き続き、サンリオフェアを中心とした実売イベントの実施を徹底していく。

 営業活動としては店頭導入、展示演出、勉強会の実施、実売イベント開催の一連のサイクルをしっかり回す4BOXと、五つのベスト=ベストポジション(店頭展示の位置)、ベストアテンション(演出)、ベストフレンド(比較展示による商品価値の明確化)、ベストストーリー(しっかりした販売シナリオ)、ベストコネクション(店員との強い結び付き)という基本行動にしっかり取り組みたい。