2025.10.09 住友金属鉱山、地域に貢献する奨学生育成
植林事業で緑を回復した別子銅山跡 (資料提供:住友金属鉱山株式会社)
第1期生19人が成果を報告
非鉄金属大手で電子材料でも知られる住友金属鉱山が、日本国際教育支援協会(JEES)と共同で行う「JEES・住友金属鉱山地域貢献奨学金」について第1期生の成果報告会を開催した。
報告会では第1期の奨学生19人が対面、ビデオで参加。それぞれの活動や奨学生支援プログラムで学んだ内容や今後の展望を報告した。
同奨学金制度は住友金属鉱山の寄付を受けJEES内で2023年度に設立。住友金属鉱山の工場や鉱山が立地する地域の持続的発展に貢献する意欲があり、経済的援助を必要とする学生を対象に、月額10万円を卒業まで返済不要で支給。併せて地域支援を学ぶプログラムを提供する。
プログラムの一例として、旧別子銅山がある愛媛県新居浜市で地域の歴史や背景を理解し、特性を体感し、活躍する人々に共感し、貢献に必要な視点の獲得を目指す対面方式の研修を実施している。
住友金属鉱山の祖業となる銅事業は安土桃山時代の京都で銅吹きと銅細工を開業して始まった。江戸時代中期に今日の新居浜市に旧別子銅山を開坑し、銅製錬事業から資源事業へと軸足を移した。1973年に閉山し、植林事業によって緑を回復している。同社にとっては歴史的な意味を持ち、奨学生向けプログラムなどに生かしている。
同社が鉱山に関連した地域で人材育成を試みる例は国内にとどまらない。オーストラリアのニューサウスウェールズ州中央西部の30歳未満の大学生を対象に奨学金を支給し、同州で操業するノースパークス鉱山で職業体験機会を提供するほか、チリのアタカマ州にあるカンデラリア鉱山の地元、アタカマ大学で理数系の女子学生向けの奨学金制度も設けている。