2025.10.23 日清紡マイクロ、より小さな車載カメラを作れる電源管理IC 同期整流方式やノイズ抑制で部品点数減

日清紡マイクロデバイスの電源管理集積回路(PMIC)「NP8700」はより小型、薄型の車載カメラモジュール開発に向けた製品

 日清紡マイクロデバイスは、より小型、薄型の車載カメラモジュールを開発するための新たな電源管理集積回路(PMIC)「NP8700」を発売した。四つのレギュレーターを一つのパッケージに集約しつつ、そのうち一つで交流電源から直流電源への変換を従来のダイオードでなくトランジスターで行う同期整流方式を採用。ノイズ抑制機能も盛り込んで、周辺部品の点数を削減できようにし、より幅広い用途に対応できるようにした。電源の供給や遮断を指定した順番で行って安全を守るシーケンス設定機能、出力が設定した電圧値に到達すると通知を出すパワーグッド機能も備える。


 車載カメラモジュールはドライバーモニタリング、後席検知、ジェスチャー操作など車室内の多様な用途が広がり、需要も増えている。一方で天井やミラー、コンソールなどの設置面積に限りのある場所に搭載するため、小型、薄型化の要求も強い。


 NP8700はカメラの撮像を担うCMOSセンサーや周辺制御に必要な4系統の電源を1パッケージにまとめて供給する。低ノイズが必要なブロックには低ドロップアウトレギュレーター(LDO)出力を選択可能。搭載するレギュレーターの内訳は、動作電圧が最大20Vと中耐圧かつ出力電流1.2Aの降圧同期整流レギュレーター「Ch.1」から、5.5Vの低耐圧かつ1.0Aの降圧同期整流レギュレーター「Ch.2」、5.5Aかつ1.0の降圧同期整流レギュレーターまたは0.2A LDOのセレクタブルレギュレーターである「Ch.3」、5.5Vかつ0.2Aで必要に応じハイサイドスイッチとしても動作可能なLDO「Ch.4」。


 このうちCh.1を従来製品「NJW4750」で採用していたダイオード整流方式から同期整流方式に切り替え、使いやすさを高めた。Ch.1を基準にCh.2とCh.3のスイッチング位相をずらすアンチフェイズ制御と、ノイズを分散させるスペクトラム拡散機能を搭載。カメラモジュールの画質や動作の安定性向上を図れる。シーケンス設定は立ち上げに加え立ち下げにも対応し、設計自由度と使いやすさを向上させた。Ch.1の動作電圧範囲は3.9V~20V。同社では「40Vの製品も今後投入していく予定」としている。