2025.10.31 3カ月ぶり前年同月比マイナス、8月度電子部品グローバル出荷 受動部品は堅調が継続

2025年8月度の電子部品グローバル出荷額(出所:JEITA)

 電子情報技術産業協会(JEITA)が31日に発表した8月度の電子部品グローバル出荷額は前年同月比0.8%減の3722億円となり、3カ月ぶりに前年同月比マイナスとなった。市場別出荷ではアジア・その他を除き、軒並みマイナスとなった。

 8月度グローバル出荷の分類別では、「受動部品」が前年同月比5.3%増と増加したが、「変換部品」が同2.6%減、「接続部品」が同8.3%減、「その他の電子部品」が同9.7%減とそれぞれマイナスとなった。地域別では、アジア・その他が同4.7%増と増加したが、それ以外の地域はいずれも1桁台前半の減少となった。

 製品別では、コンデンサーが同6%増、抵抗器が同4%増、センサーが同4%増と増加したが、スイッチや電源部品、高周波部品は2桁の減少となった。

 電子部品グローバル出荷の前年同月比増減は、2020年序盤はコロナ禍からの回復により21年から22年前半まで好調に推移したが、22年後半以降はICT関係や中華系スマートフォンを中心に調整色が強まり、22年末以降は産機市場でも在庫調整広がった。23年もその流れが継続し、23年度累計の電子部品グローバル出荷は前年度比1%減となり、4ぶりに前年度比マイナス成長となった。

 24年も産機・設備投資関連は低迷が続いたが、北米スマホ需要は堅調に推移。中国でのスマホやノートパソコンなどのICT関連も調整一巡により回復の動きとなった。AIサーバー・データセンター需要増大も、関連部品需要を拡大させ、為替の円安進行も日系電子部品メーカーの出荷金額を押し上げた。この結果、24年度累計の電子部品グローバル出荷は前期比3%増と回復した。

 25年の電子部品市場は、BEV(バッテリーEV)市場の低迷は続いているが、長期の調整局面が続いていた産機関連はやや回復傾向となり、AIサーバー/データセンター関連需要は好調が継続している。円安も日本の電子部品企業には追い風となっている。一方、米トランプ政権による相互関税政策や米中貿易規制への懸念などが、先行きの市場環境への不透明感を高めており、電子部品市場全体では一進一退の状況が続いている。

 8月度の電子部品国内出荷額は前年同月比3.8%減の814億円となり、8カ月ぶりに前年同月比マイナスとなった。