富士通は1日、新たに「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」を立ち上げ、スポーツとテクノロジーを掛け合わせた新規事業の創出に乗り出すと発表した。アメリカンフットボール部や女子バスケットボール部、陸上部など、同社が運営する複数のスポーツチームや関連施設を“現場フィールド”と位置付け、外部スタートアップなどとの共創を通じて、スポーツの現場や地域、健康、観戦体験など多面的な価値を追求する。

　対象となるビジネステーマは多岐にわたる。アスリートやチーム強化のためのトレーニング支援や競技データ分析、一般市民や地域住民の健康促進を目的としたウェルビーイング施策、観戦ファンとのデジタルエンゲージメント強化、グッズ販売、観戦体験の向上、さらには自治体・商店街・教育機関との連携による地域活性化、社会包摂を意識した子ども・障がい者スポーツ支援なども含まれる。加えて、スポーツ運営基盤のDX（デジタルトランスフォーメーション）、スポンサー可視化、施設管理の効率化、アスリートのセカンドキャリア支援といったビジネス運営面での取り組みも視野に入れている。

　12月１日からプログラムの公募を開始し、来年2月にピッチイベントを行い、3月に採択企業を決定。その後、2026年度からPoC（概念実証）を順次展開する予定。

　今回の施策は、従来のITやAI（人工知能）、クラウド中心のビジネスを超えて、リアルな「ライフスタイル」や「地域社会」「ウェルビーイング」といった領域にも踏み込む試みだ。富士通にとっては、単なるITベンダーから、社会価値の創出や生活インフラの一翼を担う「ソリューションプロバイダー」への転換を示す一手となりそうだ。