2026.01.22 【新春社長対談】アイ・エス・ビー 若尾一史社長 品川移転で一体運営 採用・組織活性に効果
アイ・エス・ビー(ISB)は2025年5月、本社を五反田から品川へ移転し、関東各地に分散していた事業所を集約した。部門横断のコミュニケーションを促し、採用面でも効果を発揮している。車載やDX関連、金融など注力事業が好調に推移する一方、成長に向けては直接受注(プライム案件)対応力の底上げやリカーリング製品の拡大を加速している。若尾一史社長に今後の戦略を聞いた。(聞き手は電波新聞社 平山勉社長)
プライム強化 2030年へ基盤固め 車載・DX・金融など注力事業が成長
―2025年、本社オフィスを創業の地の五反田から品川に移転されました。
若尾社長 25年5月に五反田や新横浜、我孫子など関東各地に分散していた事業所を集約しました。拠点や階をまたいでいた組織が一つのフロアに集まったことで、部門間の距離が縮まり、日常的な技術相談や営業連携が生まれています。カフェエリアも設け、私自身が社員と直接話す機会も増えました。
今回の移転では、オフィスを単なる執務空間ではなく、事業所を越えて知見が交わる「共創の場」と位置付けています。意思決定のスピードが上がり、若手同士が学び合う環境も整ってきました。
こうした環境では、専門領域に閉じず、自ら考え動ける人材がより重要になります。そのため、人材育成と採用を一体で捉え、挑戦を後押しする組織づくりを進めています。
―各地のエンジニアが集まってミーティングしているとも聞きます。
若尾社長 当社はお客さま先での業務対応も多く、月次の報告会などを含めて各地のエンジニアが集まる機会があります。部門を超えた交流や同期同士のつながりも生まれ、社内の雰囲気が明るくなったと感じています。
中計最終年度へ 人材投資と事業基盤強化
―移転がモチベーションや採用にもつながっているのですね。
若尾社長 社員から「品川のオフィスで働きたい」という声が出るほど意欲向上に寄与しています。採用面でも効果は大きく、中途採用が過去最高数を超えました。内定者説明会もオンライン中心から対面を増やし、役員や各部門責任者と直接交流することで、働く環境や社員の様子をより具体的に伝えられるようになりました。こうした環境整備は「人的投資」における基盤作りの一環と位置付けています。
―米国の関税問題など不透明な環境の一方で、生成AIなど新技術が広がっています。市場環境をどう見ていますか。
若尾社長 車載は注力事業であるため懸念はありましたが、現状では大きな影響は受けていません。投資に慎重な企業もあるものの、IT投資全般は底堅く、DX需要は引き続き強い。開発面の高度化も進んでいます。AI活用が加速する一方、サイバーセキュリティー需要も急増しています。
―2025年12月期通期の見通し、主要セグメントの進捗は。
若尾社長 モビリティ領域は車載が非常に好調で、アウトカー(外部システムとの接続領域)分野の拡大も推進しています。今後はTier1に近い立ち位置を目指し、プライムにも挑戦していきます。
モバイル・通信系は市場が縮小傾向にある中でも利益は確保できています。縮小分は車載でカバーしていきます。
ビジネスインダストリー領域は、DX需要により引き合いは旺盛ですが、一部で不採算プロジェクトもありました。顧客への提案、システムの設計・開発を担うプライム案件のプロジェクト管理体制をより強化するため、標準的な仕組み作りや教育を改めて進めています。エンタープライズ領域は主要顧客を中心に好調で、公共も自治体案件を中心に伸びています。プロダクト領域は顔認証端末等の新しいデバイスへの需要が旺盛で堅調に伸長しました。
―プライム強化に向けた取り組みは。
若尾社長 プライムの需要は大きいからこそ、スキルを上げ、確実に完遂できる体制が必要です。過去の教訓を踏まえ、マニュアル化や教育を改めて進めています。プライムは柱として強化し、顧客から直接依頼を受けた案件を高品質で形にできる会社にしていきます。
―リカーリングビジネスの状況は。
若尾社長 着実に伸びてきており、売上・収益ともに貢献しています。 グループ各社とのシナジーも発揮しており 、今後も成長を見込んでいます。特に「ALLIGATE」は好調です。最新IT技術との融合により事業の柱としてさらに拡大させるとともに、戦略的にブランディングにも取り組みながら、さらなる認知度向上を目指します。
―「中期経営計画2026」の進捗は。
若尾社長 26年度が最終年度となる本中計は、将来に向けた成長投資を進め、事業基盤を強化する3年間と位置付けています。重点戦略は人事戦略、情報サービス事業戦略、セキュリティシステム事業戦略です。特に人的投資はグループを挙げて取り組み、成果が出てきました。次の成長への土台は整ったと自負しています。
―さらなる成長に向けたM&A(企業の合併・買収)や提携戦略は。
若尾社長 自社に足りない技術やサービスを持つ企業を積極的に取り込む方針です。2024年には、コンサルティングやSAPビジネスに強いAMBC社がグループに加わったことで、既存事業と組み合わせ、より付加価値の高い案件獲得を目指して取り組んでいます。
―ベトナム拠点を持っていますが、グローバル戦略は。
若尾社長 ベトナムのオフショア拠点を軸に進めます。海外展示会や海外企業との交流を通じて、AIなど技術トレンドや知見も吸収したい。
―1月1日付で「HR統括部」を設置しました。
若尾社長 人事戦略をさらに強化します。採用や教育の強化を目的にHR統括部配下に人材開発部も新設しました。これまで現場が中心となり取り組んでいた教育をHR統括部主導で計画的に実施する体制に改めます。マネジメント力、コミュニケーション、上流工程のコンサルティング能力に加え、AI、クラウド、サイバーセキュリティーなどの専門領域を高めるリスキリングを推進します。
―2030年に向けた方向性は。
若尾社長 車載やDX関連など既存事業を強化しつつ、プライム案件の完遂能力を高め、顧客が作りたいシステムを高品質で具現化できる会社にしていきます。AI、クラウド、サイバーセキュリティーなど技術力の高い分野も強化します。
―将来的な売上高1000億円目標について。
若尾社長 私が社長を務めている間に売上高1000億円を達成し、永続する企業に向けた盤石な土台を築きたいと考えています。ただ数字だけではなく中身の充実が重要です。まずは、2030年までに「ISBは確かな品質と実行力でシステムを形にしてくれる会社だ」という独自のブランドを確立したい。そのためにプライム比率を高め、技術力とコンサル力を磨いていきます。企業理念「夢を持って夢に挑戦」のもと、卓越した技術と魅力ある商品・サービスを通じて社会に貢献します。
アイ・エス・ビーのあゆみ
アイ・エス・ビー(ISB)は、1970年6月設立の独立系SIer企業。創業時は「インフォメイション・サービス・ビューロー」としてスタートし、コンピューター運用管理(ファシリティ・マネジメント)事業を開始、同年8月にはソフトウエア開発・受託事業へ領域を広げた。その後、事業拠点の拡充やグループ体制の整備を進めながら、組込み・業務系開発等を中心に事業を拡大。現在は、モビリティ領域を含む各産業向けにシステム開発・サービス提供を行う。2024年12月期の連結売上高は339億円。











