2026.01.22 【情報通信総合特集】日本事務器・田中啓一代表取締役社長 市場変動に左右されぬ強み 変化に即応しつつ伴走支援強化

 当社の業績は、経済情勢や市場の動向に左右されにくいのが特徴だ。これは戦略というより、ITの安定的な需要と長期にわたりさまざまなお客さまと伴走してきたビジネスモデルの積み重ねの成果だと考えている。

 以前は9月、3月に業績が積み上がる期末偏重の傾向が強かったが、最近は平準化が進んできた。売り切りだけでなくサブスクリプション化、サービス化を進めてきたことも背景にあるとみているが、継続的に要因を分析している。特需に振り回される経営指標の見方は通用しにくい時代になっており、別の物差しで捉える必要があると思っている。

 足元では、医療分野で電子カルテ関連の大型案件が成長をけん引している一方、医療機関は物価高で仕入れ価格が上がるのに診療報酬は固定され、厳しい経営環境にある。人手不足も深刻だ。統廃合や機能分化が進む中で、単にシステムを入れるのではなく業務統合から定着まで「お客さまと一緒に取り組む」支援が一層重要になる。

 セキュリティーについては、製品単体を売るのではなく運用まで含めたマネージドサービスの比重が増えている。現場では複数ベンダーに分かれると運用が回らないという課題があり、当社はトータル提案で支える。

 事業を進める上で生成AI(人工知能)は避けて通れない。AIが当たり前に使われるようになってきた時、AIをどう使うかだけでなく、AIに選ばれるにはどうすべきかを意識していく必要もある。

 当社の生成AIの取り組みは「①社内活用」「②自社ソリューションへの組み込み」「③お客さまのAI活用支援」の3軸で進めている。お客さまのAI活用については、例えば相談会を通じてやりたいことを聞くなど、一緒に考えながらお客さまに合わせた活用を提案している。しかしAIの活用については情報漏えいを懸念する声も多く、運用についてはさまざまな想定をしながら後押ししていきたい。

 今の時代、3年の中期経営計画を固めても、環境はすぐに変わる。変化をいち早く察知し機敏に対応すると同時に、既存のお客さまを置き去りにしない。この両立こそが、当社の次の成長の条件になる。