2026.07.15 暑熱対策ソリューション提案を加速、B2B分野で シャープ

JR東海・大阪台車検査車両所では「手掌冷却用+12℃適温蓄冷材」を使用。手のひらを通る血液を冷やし、体を中から効果的に冷やせる

JR東海での車両点検作業(提供:JR東海)。現場からは導入後「暑い中での作業が、だいぶ楽になった。アイススラリーと適温蓄冷材が一番」との声も聞こえた。JR東海での車両点検作業(提供:JR東海)。現場からは導入後「暑い中での作業が、だいぶ楽になった。アイススラリーと適温蓄冷材が一番」との声も聞こえた。

 シャープは、手のひらをやさしく冷やす手掌冷却用適温蓄冷材と、「飲める氷」を簡単に作れるアイススラリー冷蔵庫の提供を通し、企業や団体などに向けた暑熱対策ソリューションの提案を加速する。新規事業の柱の一つに据え、事業拡大を目指す。

 適温蓄冷材の事業を担当するSmart Appliances & Solutions事業本部 国内キッチン事業部調理技術部の黄輝心(ファン フィシン)課長は、「2028年度には(暑熱対策用として)累計10万個の販売を目指したい」と話す。

 またアイススラリー冷蔵庫は昨年度900社へのレンタル実績で、27年度には3000社への拡大を目指す。

 蓄冷材の開発は、14年に停電対策としてインドネシアの冷蔵庫に搭載する形でスタート。手掌冷却用としての用途では、20年にデサントとAVA血管冷却アイテム「コアクーラー」を共同開発した。

 その後も熱中症対策として教育現場での検証などを重ね、事業化に向けた取り組みに力を入れ、今年4月から本格的にB2B(法人向け)で暑熱対策用適温蓄冷材の販売を始めている。

 25年8月には東海旅客鉄道(JR東海)の新幹線鉄道事業本部 関西支社 大阪台車検査車両所(大阪府摂津市)に適温蓄冷材を試験的に750個導入。

 26年1~3月にかけ、シャープとJR東海は車両点検作業を想定した環境下で、同蓄冷材の暑熱対策効果を検証した。この結果、効率的な身体冷却への有用性を確認し、6月に追加で100個導入した。

 JR東海では、新幹線の安全を守る車両点検作業で、アイススラリー冷蔵庫3台と合わせ、作業員の暑熱対策に積極的に活用している。

効果的に体をクーリング

 同社がJR東海に納入したのは、「手掌冷却用+12℃適温蓄冷材」。手のひら(手掌)に収まるサイズで、活動の前後に蓄冷材を握ることで、手のひらを通る血液を冷やし、深部体温を効果的に下げる。

 一般的な保冷剤よりも高い温度(+12℃)を保持するため、握り続けても冷たさによる痛みを抑えられる。数分程度でも快適に握っていられる。

 同蓄冷材は繰り返し使用でき、冷凍庫では2時間以上、氷水では1時間以上冷却することで凍結できる。

 大阪台車検査車両所では、午前・午後の2回に分けて「クーリングタイム」を設けるなど、暑熱対策の取り組みに力を入れている。 アイススラリー冷蔵庫は24年度からすでに導入しており、体の外と中を効果的にクーリングし、現場での働きやすさに貢献している。

 アイススラリー冷蔵庫の中にはそれぞれ所員用の飲料が冷やされており、常時アイススラリー飲料水を補給できるようにしている。12℃適温蓄冷材の冷却にも活用する。

 ここでは、126人の所員(所長含む)が、新幹線車両の定期検査を行っている。20カ月または80万㎞を超えない期間のいずれかに1回、台車を解体し、主要部分について検査・修繕を行う。

 これまで、屋内にはスポットクーラーやファン付きウエアも活用し、暑熱対策には取り組んでいたが、展示会で同社の暑熱ソリューションを知る機会があり、さらに効果的な暑熱対策として導入したという。

 大阪台車検査車両所の西出正和所長は「猛暑が激しくなり、さまざまな取り組みをしても熱中症は起こり得る。今後もさらに情報を集め、暑熱対策に力を入れたい。所員の安全・健康を最優先に、働きやすい職場環境を作って行きたい」と話す。

 シャープは今後、暑熱対策ソリューションとして「工場など、さまざまな屋内の作業現場や、屋外の土木・建築現場、さらに介護、スポーツ分野への活用を進めていきたい」(黄課長)と話す。

 暑熱対策用適温蓄冷材は、4月以降JR東海を含め6月末時点で数十社に納入しており、手ごたえを得ている。