2019.10.14 【CEATEC2019特集】デジタル変革 AIやIoTなどを活用 現場のデジタル化進展

顔認証の精度も年々進化しており実装の幅が広がっている(写真はNEC)

 AI(人工知能)やIoT、クラウドといった最新のデジタル技術を活用し、業務の効率化や新たな付加価値を提供していくデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)への取り組みが本格化している。AI技術などの進展に伴い、現実社会に存在する膨大なデータを分析できる環境が整ってきていることも追い風だ。オフィス環境だけでなく、働く現場をデジタル化するソリューションも増えており、ソリューションベンダーと顧客とが一緒になって課題解決を進める〝共創〟の事例も増えてきた。

 主要電機各社はAIやIoTを活用し、データを活用していくためのプラットフォーム(基盤)を用意して顧客とともにデジタル化に取り組む。ここ数年は現場のデジタル化に取り組む企業が一気に増えてきた。工場などでは各種センサー、カメラによる画像認識技術を使い生産ラインを高度化。生産の効率化だけでなく、予防保守などにつなげる事例も出てきている。

 現場と同じ環境をサイバー空間に再現し、シミュレ-ションを重ねながら改善するサイバーフィジカルシステム(CPS)に取り組む企業も多い。シミュレーションの精度を高めることで現場での失敗率を下げ大幅な改善が図れる。工場のスマート化や、ビルなどの管理、社会インフラの監視などにも活用され始めており、今後さらに導入事例が増えてくるとみられる。

 AIの活用も進む。高度な画像認識や音声認識などに使われるようになっており、様々な問い合わせに対してコンピュータが自動応答する仕組みや、業務を自動化する取り組みが進む。働き方改革を推進する企業が増える中、省力化と効率化を両立する技術としてAIが一般的に使われるようになっており、この流れはさらに加速していくとみられる。

 生体認証の可能性も広がってきた。最近は顔認証技術も進化しており、個人認証やセキュリティにも活用されてきた。小売流通の現場では顔認証などの技術を使った手ぶら決済の実現に向けた開発が進むほか、セキュリティでは入退室、入退場の管理に顔認証を使う事例が増えている。監視カメラ映像から特定人物を特定する監視セキュリティにも適用が進んでおり、来年の東京オリンピック/パラリンピックの開催を前に導入が進みそうだ。

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