2021.01.15 【電子材料特集】5G通信用材料動向

新製品や新グレード開発に全力

 電子材料メーカー各社は、第5世代高速通信規格5Gにターゲットを絞った新製品開発、市場投入を加速させる。5G用電子部品・デバイスで求められる低誘電率や低誘電正接、半導体実装に耐えられる耐熱性などを満たす材料開発を強化し、5G市場(インフラ/端末)でのビジネス拡大を目指す。

 5G通信は、超高度情報社会に向けた次世代通信方式として、超高速大容量、低遅延、多数同時接続などを特徴とし、20年から本格的な普及が始まりつつある。5Gの商用サービスは、先行していた米国や韓国、中国などに続き、日本でも昨年3月から主要通信キャリアによるサービスが順次開始され、今後サービスエリアの拡充が進む見込みだ。

 5G通信の周波数は、ハイバンドでは30ギガヘルツ近傍以上のミリ波帯域が使用される。このため、最近では5Gのミリ波領域に狙いを定めた、高周波対応や高速大容量伝送に対応する電子部品・デバイス開発へのニーズが高まっている。5Gは同時多接続や低遅延といった特徴を持つことから、IoTの普及促進への寄与も期待されている。

 こうしたニーズに応えるため、化学材料メーカー各社は、5Gの基地局や端末などに目標を置いた新製品開発や既存素材の新グレード品開発などに全力を挙げている。

 5G通信で使われる電子部品およびデバイスで求められる低誘電率や低誘電正接、優れた耐熱性などを兼ね備える素材の先行開発を進めることにより、5G関連材料ビジネスの積極的な展開を図っていく。

 5Gアプリケーション向け材料開発では、低誘電率や低誘電正接を実現し、機械物性や耐熱性にも優れる高周波プリント基板用絶縁材料や5Gアンテナ基板材料、高速伝送用電子部品向け材料などの開発が進展。

 各社は、精緻な分子設計などを行うことで、優れた低伝送損失を実現できる素材開発を探求し、大容量通信の安定化への貢献を目指す。さらに、加工のしやすさや接着性、電子部品・モジュールの小型化への寄与なども追及している。