2019.10.24 【次世代自動車用部品特集】自動運転車の開発動向 完全自動運転化へ車載5Gに照準

米テスラモーターズの「モデル3」(CEATEC 2019から)

 自動運転車/完全自動運転車の実現に向けた技術開発が国内外で活発化している。自動運転関連の実証実験なども各国で始まっており、日本では今月中旬から、内閣府による東京臨海部でのインフラ協調型自動運転の実証実験がスタートした。 日米欧の主要な自動車メーカーは、20-21年頃を実用化ターゲット時期とした自動運転車(自動運転レベル3)の開発を加速させるとともに、将来の完全自動運転を見据えた研究開発にも注力している。

 完全自動運転化に必須とされる、次世代高速通信規格5Gの自動車分野での活用も25年頃から本格化する見通しで、車載5Gに照準を合わせたデバイスやモジュール開発も加速している。

 自動運転車のレベルは、自動走行システムの性能により、レベル1からレベル5までの5段階に分類される。この中で、多くの自動車メーカーが研究開発のターゲットとするのは、「加速(アクセル)」「操舵(〈そうだ〉ハンドル)」「制動(ブレーキ)」の全ての操作を車両側が行う「自動運転レベル3」以上の自動走行車。

 自動運転レベル3は、通常走行時は操作の全てを車側が行い、緊急時のみ人が操作する。このため、完全自動操舵システムや高精度な物体認識技術、V2X通信技術、3次元地図データなど、様々な自動運転支援技術の融合が必要とされており、加えて、道路インフラ側の整備や各国での各種法整備も必要となる。

AI活用も重要

 自動運転車開発では、様々な情報を基に、車自身が状況を正確に把握し適切な判断を下すため、「AI(人工知能)」の活用も重要。同時に、自動運転では状況変化に瞬時で対応する高速応答が必須のため、「エッジコンピューティング技術」も重要な鍵を握る。

 内外の主要自動車メーカーでは、20-21年前後を「自動運転車(レベル3)」の実用化目標時期に定め、技術開発にしのぎを削っている。特に日本は20年の東京五輪に向け、「2020年の自動運転実現」が官民を挙げた明確な目標に掲げられている。

 自動運転車開発の将来的な方向は、高速道路などの限定領域内で運転操作の全てを車が行い、ドライバーは一切操作に関与しない「自動運転レベル4=高度運転自動化」が志向され、25年から30年頃の実用化が業界のターゲットとなっているとされる。さらに、最終的には一般道も含めた全ての公道で、ドライバーが一切運転に関与しない「自動運転レベル5=完全自動運転化」が目標に掲げられている。

 同時に、初期の自動運転技術であるレベル1やレベル2の搭載車両の市場は、これまでの欧米や日本、中国などに加え、20年代にはASEANやインドなどでも広がっていく見通し。

 自動運転レベル3以上に対応する新型車開発は、従来の車両メーカー単独での開発は難しい。

 自動車各社は、車載電装機器メーカーに加え、有力IT企業や技術ベンチャー、半導体企業、ソフトウエア企業などとの連携を強化している。

 電子部品各社は、これらの動きを踏まえ、自動運転をサポートするための電子部品・モジュール開発を加速させている。各社は自動運転車時代の業界標準に向けた技術開発を一段と強化する。

【次世代自動車用部品特集】目次