2021.03.05 【SMD特集】KOALTCC多層基板

LTCC多層基板

「KLCシリーズ」をラインアップ

 KOAは、部品内蔵基板向けに、極薄チップ抵抗器、低温焼成セラミックス(LTCC)多層基板などを供給している。

 モバイル機器などで使用される電子部品には小型化が求められているが、さらなるセット・モジュールの小型・高集積化を目指した次世代実装で、表面実装に代わる技術として基板内に部品を内蔵する部品内蔵基板技術も注目されている。

 部品内蔵基板の電気的接続には従来のはんだ接続に加え、レーザービアを形成することで、直接銅箔パターンとの接続を行う銅めっき接続方式が採用されている。

 はんだ接続方式の場合には既存の0402ミリメートルや0603ミリメートルなど、一般的な小型チップ抵抗器が使用されることが多いが、銅めっき接続方式の場合は銅めっき電極を形成した専用部品が必要になる。

 同社は、銅めっき接続方式に対応した基板内蔵用厚膜チップ抵抗器「XR73シリーズ」をラインアップしている。

 製品サイズには、1005ミリメートルサイズの「XR731E」、0603ミリメートルの「XR731H」があり、汎用チップ抵抗器と同等の電気的特性を維持しつつ、厚みをXR731Eが0.14ミリメートル(typ)、XR731Hが0.13ミリメートル(同)と部品内蔵基板で要求される部品厚の超薄型化を実現した。併せて、銅めっき接続方式による高い接続信頼性を実現するため、銅端子電極を採用している。

 樹脂基板内蔵用のチップ抵抗器のほかに、セラミックス基板の一種であるLTCC多層基板「KLCシリーズ」をラインアップしており、抵抗素子をセラミックス基板の表層、内層に直接印刷形成することが可能。モジュールの小型化に寄与するとともに、基板と一体化した信頼性の高い抵抗が実現されている。

 近年、実用化が進んでいる部品内蔵基板だが、部品を3次元実装することによる高密度実装以外にも、部品を基板に内蔵することにより回路パターンの最短配線による電気的特性の改善や耐環境性の向上など、性能面や信頼性面での優位性も考えられている。

 市場で求められる高集積化とともに、特性面での優位性も含め、今後の市場拡大が期待されている。