2021.04.01 【ウエアラブル用部品/半導体材料特集】ウエアラブル機器用部品、専用部品を先行開発半導体材料 5Gや次世代パワー半導体に照準

ウエアラブル機器向けのリチウムイオン/リチウムポリマー二次電池1セル用保護IC(ミツミ電機)

 ウエアラブル端末は、多機能化や高機能化が進む中で、国内外で高い成長が期待されている。電子部品メーカー各社は、同端末の進化に照準を合わせた技術開発を推進している。一方、半導体材料は、第5世代移動通信規格5Gの進展や自動車の電動化などに合わせ、次世代半導体プロセス材料や次世代パワー半導体材料などの技術開発が活発化している。

ウエアラブル機器用部品技術

 ウエアラブル端末は、スマートウオッチやスマートグラスをはじめ、様々な種類があり、高い成長が予測されている。近年は、ワイヤレスイヤホンの需要が急増。無線センサー機能を内蔵したスポーツシューズや、飼い犬の首に取り付けて追跡調査が行えるスマートドッグカラーなども商品化されている。

 ウエアラブル機器に内蔵される電子部品は、通常のスマートフォン用部品以上の小型・薄型化が要求される。電子部品メーカー各社は、ウエアラブル機器におけるニーズに照準を合わせ、専用部品の先行開発を進めることで、技術的な差別化を促進している。

 ウエアラブル機器用センサーは、ジャイロセンサーやデジタル気圧センサー、デジタル温湿度センサーをはじめ多様なセンシングデバイスが搭載される。電子部品各社は、センサーの小型・高性能化ニーズに対応し、MEMS技術などを活用した超小型かつ高性能で、低消費電力性能にも優れた製品開発に力を入れている。

 無線通信モジュールや、ブルートゥース・ロー・エナジー(BLE)モジュールや、920MHz対応Sub-GHz帯モジュール、LPWAモジュールの小型化が追求されている。複数のセンサーと無線通信モジュールを複合化した無線センサーネットワークモジュールの提案にも力が注がれる。

 接続/変換部品は、バッテリー接続やディスプレー接続などの用途向けに、基板対基板コネクターやFPCコネクターの低背かつ小極バリエーションなどに力が注がれる。製品高さ0.6/0.5ミリメートルの超低背コネクターの拡充や、ハイエンドスマホで使用される0.35ミリピッチ基板対基板コネクターを改良したウエアラブル端末専用コネクター開発などが進む。

 回路部品は、スマートウオッチやワイヤレスイヤホンなどでの高密度要求に対応するため、軽薄短小化に向けた技術開発が一段と加速している。積層セラミックコンデンサー(MLCC)や高周波回路インダクターでは、0402サイズなどの極小チップに加えて、0201サイズの超小型品が開発されている。

半導体材料技術

 半導体材料は、次世代半導体露光技術であるEUV(極端紫外線)リソグラフィーに向けたプロセス材料の開発や供給体制拡充の動きが活発化している。

 半導体露光装置の光源は、主流のKrF(フッ化クリプトン、波長248ナノメートル)から、ArF(フッ化アルゴン、波長193ナノメートル以下)への移行が進展している。だが、「7ナノメートル世代」と呼ばれる半導体デバイスの微細なパターン形成は、現行のKrFやArFでは理論上困難となっている。

先端フォトレジスト(東京応化工業)

 EUV露光(波長13.5ナノメートル)は、17年頃から一部の半導体露光装置メーカーがEUV装置の出荷を開始。その後、5G化に伴う半導体回路の微細化要求の強まりもあり、海外主要半導体メーカーやファウンドリーの投資が本格化し、本格実用化への機運が高まってきている。

 半導体プロセス材料各社は、EUV露光に照準を合わせたフォトレジスト(感光材料)やペリクル(フォトマスク防塵カバー)、マスクブランクスなどの開発や設備投資を活発化させている。素材や製造方法の見直しなどを進めることで、技術的なブレークスルーを推進する。