2021.05.31 量子技術で新産業創出へオールジャパンで共同研究 今夏に協議会発足

 量子技術による新産業の創出を目指す協議会が今夏に発足する。東芝や日立製作所、トヨタ自動車といった日本を代表するグローバル企業が連携し立ち上げる計画で、産業分野への応用に向けた調査研究や人材育成などに産学官のオールジャパン体制で取り組み、この分野で先行する米中を追撃する。

 量子技術は「量子力学」という特殊な物理法則を生かして通信や計算、シミュレーションなどを行う技術で、次世代の高速計算機「量子コンピューター」などが含まれる。

 5月31日に設立発起人会を開き、会長に東芝の綱川智会長兼社長CEOが就任した。7月以降にも設立総会を開く予定で、発起人には、NTTや富士通、NEC、JSR、三菱ケミカルホールディングス、みずほフィナンシャルグループなど8社も名を連ねた。50社以上の参画を目指す。

 米中などは、中長期の産業競争力や国家安全保障を左右する量子技術を重点分野として位置付けて研究開発投資を大幅に拡充。世界で量子技術を巡る覇権争いが一段と熱を帯びる中で日本には、先行組への対抗戦略をどう描くかが問われそうだ。

 この日のオンライン記者会見で、綱川氏は「来る量子時代においては技術面に加えて、産業面でも世界をリードしていきたい」と強調。NTTの篠原弘道会長も「幅広い量子技術を産業界で活用できるよう働きかけたい」と、量子技術の産業応用で日本勢が巻き返すことに意欲を示した。