2021.06.09 【ITサポートサービス特集】NECフィールディング医療機器や冷蔵機器保守などマルチメンテ対応強化

三上 常務

 NECフィールディングは、メーカーや機器を問わず保守サポートするマルチメンテナンス対応を強化するとともに、ソリューション提案ではニューノーマル(新しい日常)と政府が進める自治体ネットワーク強靭(きょうじん)化への支援をキーワードに進めていく。数年来進めてきた社内デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の取り組みは成果の刈り取りに向けた運用を加速させる。

 新型コロナウイルスの拡大に伴い企業を取り巻く環境が大きく変わる中、この1年はテレワークの導入支援をはじめ、フロント業務向けのネットワーク構築や運用支援といった案件も増えてきた。三上理・執行役員常務は「従来のIT保守が減少する傾向は変わらないものの、コロナ禍で変わった新たなオフィス環境の支援が生まれてきている」と話す。

 マルチメンテナンスは、IT機器だけでなく非IT機器まで幅広く対応し約90社の実績がある。特に注力してきた医療機器の保守は、全国15カ所で対応できる体制を整えた。CTなど放射線機器関連のサポートもできる。今年度は新たに12拠点で医療機器保守の認可を取得し計27拠点を目指す。

 新領域では冷蔵機器の保守といった店舗機器への対応も加速。冷蔵機器の保守をするためにフロン関連機器の資格取得も進め、現在約70人が取得済みだ。三上常務は「今年度中に有資格者を130人規模まで増やし全国対応していく」と話す。

 全国361拠点、約3400人のエンジニアによる24時間365日体制でサポートする中、生産性向上とサポート品質向上を両立するために取り組んできた社内DXも成果が出てきている。テレワークができる人員4649人に在宅勤務が可能な環境を整えた。

 保守品質向上に向けては全国に約1600台のスマートグラスを配布済みで、現場のエンジニアをスマートグラスサポートセンターから遠隔支援している。スマートグラスのカメラを使った作業支援への適用範囲は広がっており、今後は工事の確認や設置確認などの領域にも適用していく計画だ。

 全国のカスタマーエンジニア(CE)の自動ディスパッチ(派遣)も効果が出ているほか、エンジニアの健康管理のために約2000台を配布したバイタルセンシングデバイスは、データを収集し分析を始めている。

 さらに人工知能(AI)を活用したサポート支援も進む。AIチャットボットの故障診断や問い合わせ対応も成果が出ている。プリンター、パソコン(PC)、サーバーで始め、利用件数も増えてきた。「今後は対応製品の幅を広げるとともに顧客自らで自己解決できる仕組みづくりも検討していく」(三上常務)。

 今年度はパーツセンターのDX化を進める。既に「川崎テクニカルセンター」を中心に、全国の自社保有パーツセンター全てにカメラ計1600台を設置。AIによる画像解析を始めた。人やパーツなどの動きを分析し効率化を図る。

 ソリューション対応では、ニューノーマル時代のオフィス支援を強化する。リモート会議などに適した会議室の構築をはじめ、空気清浄機など安心安全な空間支援をしていく。自治体のネットワーク強靭化に向けた構築と運用支援や、GIGAスクールで納入したPCなどの端末の利活用支援にも取り組んでいく計画だ。