2022.01.10 デジタル教材の課題に対応 IT各社、教材会社と連携

内田洋行の教育コンテンツ配信サービス「EduMall」

 政府の「GIGAスクール構想」により小中学校で1人1台端末の学習が進む一方で、教育現場ではデジタル教材をいかに使いこなすかが新たな課題として浮上している。教材会社が地域や教員のニーズを踏まえて出版している図書教材は、種類が膨大なためデジタル化が立ち遅れていることが背景にある。IT各社はこうした課題に対応し、教材会社と連携した取り組みに乗り出した。

 富士通グループで情報サービスを手掛ける富士通Japanは、図書教材を手掛ける教育同人社と浜島書店、明治図書出版の3社と提携。ICT(情報通信技術)を活用した新たな学びを支援し良質なデジタル教材を提供するための共通基盤の開発に着手した。

 共通基盤を利用して、全国の小学校・高校向けに、3社が開発する教科書準拠のドリルやプリントなどのデジタル版図書教材を、今年4月に提携予定の販売代理店を通じて提供する。複数社のデジタル教材を販売代理店経由で学校に直接提供する取り組みは国内初という。

 デジタル教材にいち早く取り組んできたのが内田洋行だ。2004年から提供を始めた教育コンテンツ配信サービス「EduMall(エデュモール)」を20年4月に全面刷新。1人1台端末の活用を見据えクラウド型に移行した。34社約1100タイトルのデジタルコンテンツを年間契約で利用でき、コンテンツは購入前に試用もできる。

 文部科学省が昨年8月に公表した「GIGAスクール構想に関する各種調査」によると、同構想により全国の公立小学校の96.1%、中学校の96.5%で1人1台の端末配備が完了。端末の整備が進んだ一方で、同構想の課題について小中学校の39.8%が「学校の学習指導での活用」と回答。35.8%が「教員のICT活用指導力」に不安を抱えており、教育現場の学習指導でいかに端末を活用していくかが新たな課題となっている。
(10日付の電波新聞、電波新聞デジタルで詳報します。)