2022.10.21 【あかりの日特集】国内照明市場の動向 IoT照明が活発化 付加価値照明割合、4~8月累計19.4%
IoTをはじめとする付加価値照明の普及拡大がカギ
国内の照明市場は、ロシアによるウクライナ侵攻や半導体不足、原材料費や物流費の高騰などに円安の影響も加わり、厳しい市場環境に置かれている。そうした中でも、日本照明工業会(JLMA)の統計では、2022年度(4~8月)の照明器具出荷台数は前年比104%と前年を上回っている。金額ベースでも前年超えが続いている。
市場環境について、JLMAの島岡国康会長は「不確実を前提にした方がいい。何が起こるか分からない。逆風という面がある一方で好転する可能性もある」と分析。「どちらに転んでも対応できるよう次の仕掛けをしていくことが重要」と指摘する。
予測を立てにくい市況の中、重要になってくるのがスマート化をはじめとする付加価値照明の拡大だ。出荷台数に占める付加価値照明の割合は4~8月累計で19.4%と「決して普及は遅くない」(島岡会長)との見方を示す。
IoT照明の普及に向けた動きが市場で活発になっているのも事実だ。世界的照明大手シグニファイは9月、フィリップスブランドで展開するIoTLED電球「Hue(ヒュー)」とは別に、新しいIoT照明「WiZ(ウィズ)」を国内で発売した。人の動きによるWi-Fi電波の変化を感知するセンシング機能を搭載したLED電球やポータブルライトなどをラインアップ。専用ハブを不要にするとともに価格にも値頃感を出し、IoT照明の導入障壁を下げることを狙った製品展開を始めている。
同時に、来年後半から本格化を見込むのが、ウィズの部品やアプリなどを照明メーカーにOEM(相手先ブランドによる製造)供給するB2B事業の立ち上がりだ。シグニファイジャパンの大塚圭太郎社長は「ウィズ対応の照明器具を当社が全てそろえなければいけないとは考えていない。ダウンライトをはじめさまざまな照明器具があり、それぞれのメーカーがウィズの部品などを使って照明をスマート化してくれればよい」と述べ、ウィズを活用して照明業界のプラットフォーマーを目指す方向性を示している。
普及の遅れも指摘
家電など身の回りの機器でIoT化は加速している半面、IoT照明の普及の遅れも指摘されている。照明はインフラ設備でもあり、家電などに比べると製品サイクルなどが異なる。そうした面も施設向けでは普及が加速しきらない一因になっている。ただ、住宅用ではIoT化の利点が消費者に伝わりきっていないのも事実。より魅力的なIoT照明が各社から投入され、スマートホームを実現する上で照明の果たす役割が明確化されれば、住宅用でも急速に導入は進むはずだ。