2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23展望  空気清浄機

花粉シーズンに向けて、再び活発な商戦展開に期待がかかる空気清浄機

加湿機能搭載の複合モデルが主流に

 清潔・健康意識の高まりを背景に、室内の空気質に対して関心が高まったことで、空気清浄機は需要を伸ばしたが、ここにきて伸び悩む状況となっている。

 空気清浄機は、コロナ禍で関心を集め、ピークを迎えたのが2020年度で、想定以上のニーズが顕在化して、過去最高の出荷台数を達成した。20年度の出荷台数は約360万台(前年比177%)と大幅な伸びを記録した(日本電機工業会=JEMA調べ)。

 当時は、国内大手メーカーでは増産に次ぐ増産を重ねて対応することになり、国内に新たな生産ラインを作ったメーカーもあったが、21、22年度と前年を割れる状態が続いており、メーカー各社では「想定以上に厳しい」とする意見が、今では大半を占めている。

 21年度の出荷台数は前年比70・9%の約254万台にとどまっており、22年度11月までの累計出荷台数も前年同期比74・8%の102万台と厳しい。コロナ禍で高まった空気質への関心は落ち着きを見せても健康意識は持続するとみられていただけに、やや計算外の事態となっている。

 こうした中、引き続き新規はもとより買い替え、買い増し需要の顕在化が大きな課題となる。

 空気清浄機の購入目的で多いのは、花粉やハウスダスト対策、ウイルス対策、さらに加湿してのウイルス対策などであり、間もなく迎える花粉シーズンでの商戦展開がどうなるか気になるところだ。

 ただ、中長期的に見て清潔・健康意識は継続するだろう。空気清浄機各社では、より除菌・脱臭性能を強めるなど、さらなる製品戦略に力を入れるほか、B2Cに加え、学校、店舗、高齢者施設、オフィス、病院など、B2Bチャンネルでの市場開拓を強めている。併せて業務用の商品戦略にも力を入れ、清潔・健康ニーズに幅広く応える取り組みに力が入る。

 空気清浄機で近年主流となっているのが、加湿機能を搭載した複合モデルで、中には除湿機能まで一体となった高付加価値モデルもあり、年中快適な質毎空間の実現に貢献している。

 主流の加湿空気清浄機の場合、花粉・ハウスダスト除去に加え、最適な加湿による冬場のウイルス対策にも効果を発揮する。

 今では行動制限が緩和され、ウィズコロナ路線へと切り替わったとはいえ、依然として新型コロナやインフルエンザの流行に注意が必要な中、業務用、家庭用を含めて、空気清浄機が再度見直される可能性は十分ある。