2023.01.18 【情報通信総合特集】東芝情報システム 渡邉一正社長

技術力向上と開発効率を高める

 エンベデッド事業の専門会社として、組み込みソフトと半導体設計を主体に事業展開している。経済環境は依然として厳しい状況が続いているが、2022年度業績は、計画を上回って推移している。

 当社の組み込みソフトは、デンソーとも資本関係にあり車載関係の比率が大きく、特にエンジン制御、自動運転制御に強みを持つ。自動車業界は今、電動化(EV化)など大きな転換点を迎えている。22年度は、電動化の流れが加速したのに加え、自動運転やモビリティーコンピューティングのソフト開発が急速に拡大し、市場環境も大きく好転した。車載関係は、コロナ前の活況を取り戻しつつある。

 半導体設計は次世代製品の設計を主体に事業展開しており、半導体不足の影響を受けていない。CMOSセンサーや5G関連で大手企業からの引き合いも多く、引き続き好調に推移している。

 一方、メモリー、ストレージ分野は、増産した反動から過剰在庫となった影響もあり、開発需要が大きく減少した。

 23年度の市場はメモリー、ストレージ分野は厳しい状況が続くが、電動化、自動化など車を中心としたモビリティー分野の進化がさらに加速し、車載関係を中心に活況が見込まれる。また、CMOSセンサーも好調を持続するとみている。

 こうした中、23年度は持続的成長に向け、技術力のさらなる向上とともに、開発効率(生産性、品質)の強化を図る。その一つとして、22年度から人工知能(AI)を活用し、当社の開発における検査工程の効率化に取り組んでいる。AIを身近なツールとして活用するこの取り組みをより加速させるために、AI人材の強化を進める。

 昨年8月に創業60周年を迎えた。当社の強みは、高度でしかも大規模な開発に対応できるところにあり、差別化、優位性でもある。70周年に向けさらなる成長を目指すため、技術力、それをまとめる組織力を強化していく。これからも時代にマッチした技術を組織力として提供する業界屈指のエンベデッド専門企業を目指していく。