2023.05.31 【JISSO PROTEC/JPCA Show特集】実装機/スマートファクトリー動向 実装機を主にSMTラインをスマート化
進化を加速するする実装各社のスマートファクトリー
製造業は、より高精度で高品質な製品を低コスト・短納期で市場に届けることが要求される中で、デジタル革新を加速している。スマートファクトリーが無人化、全自動生産化の実現に向けてますます進化している。
「スマートファクトリー(smart=賢い、factory=工場)」は、IoT技術を活用した生産システムにより、製造業の生産性を革新的に向上させ、最終的には工場の無人化、全自動生産化を実現する。製造業の省人化、省エネ化などを実現するばかりでなく、ヒューマンエラーをなくした高品質生産や、グローバル化の中での世界同一品質生産など製造業に革新をもたらす。
もともとはドイツが2011年に「インダストリー4.0」として、第4次産業革命に位置付ける生産革新を提唱したのが始まり。「インテリジェントファクトリー」「コネクテッドファクトリー」「オートノマスファクトリー」「デジタルマニュファクチュアリング」などとも呼称され、最近では「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」として普及が進んでいる。
SMT業界では、実装機がこれまでの単なるプリント基板に電子部品や半導体を搭載する装置から、実装ライン全体をスマート化するプラットフォームへと進化を遂げつつある。IoT技術を活用し、実装機を核にプリント基板のはんだ印刷工程から、実装後のはんだ付け装置、検査装置まで一元的に情報管理することで、SMTラインの生産性を革新的に向上させ、最終的には無人化、全自動生産化により365日24時間ノンストップ稼働へと進化する。
これまでは別のプロセスだった実装部品の保管・供給や、実装後の手作業による大型部品などの搭載までSMTラインに組み入れて、トータルで自動化する動きも業界では一般的になってきた。
M2M(Machine to Machine)技術、情報を収集するフィールドバスなどのネットワーク技術、測定値の解析まで行うセンシング技術など、さまざまな技術がSMTのスマート化を支える。デジタルツイン、人工知能(AI)、セキュリティーなどソフトウエアも重要になっている。
スマートファクトリーの導入は、第1ステップ=生産ライン内の一部の設備やシステム間で、特定の課題を解決するための連携機能(M2M)、第2ステップ=生産ラインだけでなくフロア全体を対象とした自動化・省人化への対応、第3ステップ=自動化されたSMTフロアで各設備、人、環境などのデータを収集・集計し見える化、分析、自律制御を行い、設備の異常停止の未然防止と、段階的に進んでいく。各ステップで導入効果をシミュレーションする「デジタルツイン」技術の活用が広がっている。
SMTと半導体後工程の融合化が始まっており、実装機各社は新領域に掲げて本格的な事業化を進めている。半導体メーカーのボンディング・パッケージング技術の開発と多様化、多様なプロセスで製造された半導体デバイスと電子部品の混載など加速する実装プロセスの進化がある。
半導体の製造プロセスの後工程ではSiPなどメモリーやマイコンなど複数のチップをパッケージ内で3次元方向に積層して実装する3D実装や、異なるプロセスノードを使用してチップを製造、集積化するチップレット技術など、パッケージング技術による高集積化を進めている。3次元実装は基板との接続に貫通電極(TSV)とバンプ(はんだボール)を用いるフリップ実装が増え、複数のベアチップや受動部品などを複数搭載して一つのICとしてパッケージングするMCM(マルチチップモジュール)も増加している。これらボンディングなどの製造プロセスはSMTが応用されるケースが増えている。