2023.06.19 土やコンポストからも発電の「超小集電」 トライポッド・デザインが実装本格化
夕闇の中のテストサイト(同社のサイトから)
通常のエナジーハーベスティングを超える技術として「超小集電」の実装をめざすトライポッド・デザイン(東京都千代田区)。電源のない「オフグリッド」環境下のIoTに取り組んでいる。
衛星通信の電源に活用するソリューション開発を、人工衛星を手掛けるスタートアップと開始。また、食品ロスに対応するコンポスト(堆肥)を活用した集電、コンポストを使った素材事業を構想する。
中川聰CEOは「インターネットの普及に伴い、世界中の各地で、情報ネットワークの構築が求められている。だが世界には無電地域も多い。都市部だけではなく、さまざまな環境下での情報の取得や通信が必要」と強調する。
同社は、デザイナーなどとして活躍し、東京大学や名古屋大学で客員教授などを歴任した中川氏が起業した。オフグリッドの環境下でも独自の集電技術で電力を継続的に供給できる仕組み、超小集電(MPC=Micro Power Collection)の開発に取り組んでいる。
実験棟 KU-AN(空庵)を茨城県に開設し、超小集電技術による新たな環境エネルギー領域の可能性開拓を推進。集電セルの開発や、チャージコントローラーシステムの開発など、オフグリッドで長時間・安定した生活電力を供給できるテクノロジー開発に寄与できる研究を実践している。
食品堆肥や土を使用した1500個の木製MPCセルで、室内に設置された800個の12ボルトLED照明に電力を供給。電力持続性を観測するための電気ログに加えて、気温・湿度などの環境データを同時に記録し、環境要因によるMPCの電気的特性も合わせて観測している。
中川CEOは社会実装の展開に意欲を見せる。実験棟の一般見学も企画している。