2023.10.31 パワー半導体、規格化などで国際団体が白書 三菱電機が中心
白書の表紙
三菱電機は、IEC(国際電気標準化会議)が今月発行した2023年度版IEC白書のプロジェクトリーダーを務め、パワー半導体の国際規格や認証制度の整備・拡充の必要性に関する提言を取りまとめた。
国際的な規格などいわゆるルールメイキングでは、日本はやや立ち遅れているとされるだけに、日本勢の主導で動きが進むことも期待される。
同白書は10年の発行以来、年に一度、国際規格整備が必要となる電気・電子・電機技術分野の技術や市場動向をまとめ、IECや関連する団体に向けた勧告を提言している。同白書でパワー半導体が取り上げられるのは今回が初。
同社の主力製品の一つであるパワー半導体は、電力を効率よく変換することで、電気の消費量を減らし、エネルギーの有効活用に貢献するため、50年のカーボンニュートラル実現に必要不可欠なキーデバイスとして、近年、さらなる市場の拡大や技術の進展が期待されている。再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などへの新たな応用に加え、SiC(炭化ケイ素)などの新材料も使われる一方で、必要とされる国際規格や認証制度の整備が追いついていないのが現状。
国際規格や認証制度の未整備は、粗悪製品の蔓(まん)延や、製造者・ユーザー・関連規制当局との関係のひずみを生み、市場の健全な成長を阻害する。
白書では、パワー半導体のメーカーやユーザー、関連規制当局が協力し、国際規格や認証制度を策定することが、パワー半導体の新しい規格の開発と普及を加速させ、さらなる市場の健全な成長に貢献することを提言している。
(白書は無料でダウンロードできる。https://www.iec.ch/basecamp/power-semiconductors-energy-wise-society)。英文のみ。
(31日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報しています)