2023.12.08 重要インフラに迫るサイバー攻撃の脅威に備える 官民が大規模な合同演習

重要インフラを巡るサイバー脅威に備えた分野横断的演習を視察する河野デジタル相(後方左)=東京都江東区

 重要インフラに迫るサイバー攻撃の脅威が増す中、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は7日、脅威に備えてシステム障害が発生した際の対応などを確かめる「分野横断的演習」を東京都内で実施。6000人以上が参加する過去最大規模の合同演習となった。

 分野横断的演習は、重要インフラサービスの継続が脅かされるケースを想定して実施する机上演習。2006年度から毎年実施しており、今回が18回目。情報通信や金融、電力など14分野の重要インフラ事業者のほか、所管官庁やセキュリティー関係機関などが参加。初参加の警察庁と防衛省も加わった。

 演習では、重要インフラで障害が発生する段階から、原因を特定しサービスの復旧を目指す段階までを視野に実施。例えば、身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」が見つかったケースを想定し、セキュリティー対策が有効に機能しているかを確かめた。

 サイバーセキュリティーを担当する河野太郎デジタル相は開会式のあいさつで、サイバー空間を巡る脅威の情勢に触れた上で、「重要インフラのサービスを安全かつ継続的に提供し続けていくためには、官民の連携が何よりも大切で、分野横断的にサイバーセキュリティーの確保に取り組んでいかなければならない」と強調した。

 視察した河野氏は記者団の取材に応じ、「どこに課題があるかを、この演習を通じてあぶり出して対応することを期待する」と説明。官民での演習で得られた知見や課題を共有し、セキュリティー対策の強化につなげることに期待感を示した。