2023.12.27 東芝LSが家電再生品を販売、まずは社員向け、家電各社で対応広がる
リファービッシュ品を販売するパナソニックの直販サイト
サステナビリティー(持続可能性)への企業姿勢が問われる中、東芝ライフスタイルが、梱包(こんぽう)や本体に傷がつくなどで販売店から戻ってきた家電製品の販売に今月から乗り出した。試験的な取り組みの位置付けで、社販の一環としてまずは従業員向けに販売を開始した。
主要6製品(エアコン、洗濯機、冷蔵庫、オーブンレンジ、炊飯器、掃除機)を対象に、性能や機能に問題がないことを検査し、メーカー保証を付ける形で販売している。
従来はリサイクルに回して再資源化するなどの対応となっていたが、環境負荷低減の観点に加え、通常よりも割安な価格で購入できるようにすることで、福利厚生を充実させる一環として取り組み始めた。
小林伸行社長は「中古品などを購入する人が社会的にも増えている。廃棄を減らすという意味でも、まずは取り掛かりやすい社内販売から始めた」と説明する。
リファービッシュ品(メーカー再生品)やアウトレット品の販売に取り組む家電メーカーは増えている。
日立グローバルライフソリューションズ(GLS)は、アウトレット品の取り扱いを2021年9月から直販サイトで開始。22年10月からはリファービッシュ品の販売も開始するなど、無駄を極力減らすことで環境負荷低減を目指す活動の一環と位置付ける。
パナソニックも、4K有機ELテレビやドラム式洗濯乾燥機でリファービッシュ品の販売に、直販サイト「Panasonic Store Plus」で取り組んでいる。メーカー保証を1年付けることで、安心して購入しやすくしている。
メルカリをはじめとする個人間取引の広がりを背景に、中古品に対する抵抗感は社会的に薄れる傾向にある。メーカーにとっても、機能にさほど問題がなくても再出荷が難しいなどで、再資源化に回していた製品を販売できる利点がある。消費者にとっては通常よりも割安な価格で購入できるため、双方にとってプラスに働く。
家電では、省エネや節水など経済メリットにもつながる環境負荷低減の性能・機能が、付加価値として市場から高い評価を受けている。こうした開発スタンスを持続しつつ、今後はエシカル消費の視点を重視した方向性が、家電各社には問われてくるはずだ。リファービッシュ品の販売は、その方向に前進させる一歩となりそうだ。