2024.01.15 【電子材料特集】各社の事業展開 積水化成品工業

佐藤 事業部長

「テクポリマー」の拡大を推進
用途別に異なるグレードを用意

 積水化成品工業は、発泡技術や重合技術を生かし、幅広い産業の進化を支えている。エレクトロニクス向けでは、独自の重合技術を用いたポリマー微粒子「テクポリマー」の用途拡大を推進。5G関連や半導体のほか、有機ELディスプレーなど新たな領域への提案を加速させる。

 テクポリマーは、メタクリル酸メチル、スチレンをはじめ、各種疎水性ビニルモノマーをベースとしたポリマー微粒子。添加剤として用いられ、液晶ディスプレーやLED照明の光拡散材としての光学用途のほか、塗料や化粧品など幅広い分野で使用されている。

 2024年度(25年3月期)は既存分野でのシェアを維持するとともに、半導体などの新分野への取り組みを強化する。

 テクポリマーは、ニーズに応じて粒子構造やサイズが異なるグレードを用意している。中でも中空ポリマー微粒子NHシリーズの提案に注力。有機ELディスプレーの構成部材をターゲットとし、提案活動を進めていく。

 NHシリーズは粒子径がナノサイズ、粒子内部が中空となるポリマー微粒子。粒子径がそろったナノサイズのため、高い透明性が維持できる。中空構造により、低屈折率、低誘電特性、低熱伝導の効果が得られ、コーティング樹脂や有機溶剤とのなじみも良い。粒子径は65ナノメートルがスタンダード。現在、さらなる小粒子品を開発している。粒子径を微細化することで透明性の向上を狙う。また、屈折率はスタンダード品と同等の1.4以下を狙う。

 第2事業本部機能性ポリマー事業部の佐藤雅也事業部長は「現在、スタンダード品については生産プロセスの開発を進めている。高透明性、低屈折、低誘電特性などの特徴を訴求し、有機ELディスプレー分野での採用を目指す」と話す。

 同社は昨年、神戸大学の南秀人教授らの研究チームと共同で、ポリイミドをシェルにした中空微粒子の量産化技術を見いだし、低誘電特性と耐熱性に優れた球状の「テクポリマー ポリイミド中空微粒子」を開発した。

 銅張積層板での絶縁層に添加することで、低い熱膨張性を実現し、反りやクラックを抑制できるほか、高温域での実装にも耐え得る耐熱性を有する。現在、製品化に向けて準備を進めており、25年中の発売を目指す。