2024.03.27 【関西エレクトロニクス産業特集】V2H 関西メーカーが市場をけん引 新たにシャープ参入
関西ではV2Hシステムの事業化で市場をけん引している
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)の普及が進み、V2H(Vehicle to Home)システムの市場も拡大が見込める。
V2Hシステムは関西地区のメーカーが市場をけん引しており、新規にシャープも参入した。V2Hシステムをはじめ環境関連事業で関西メーカーは飛躍を狙う。
近年、電気代の高騰や太陽光発電電力の固定価格買い取り期間が終了した卒FITユーザーが増え、家庭における電力の自家消費ニーズが拡大している。
このため、蓄電池やEVに発電した電気を貯め、HEMS制御で賢く自家消費するというニーズも高まっている。
実際に、家庭用蓄電池(定置用リチウムイオン蓄電システム出荷動向)の市場は伸長している。蓄電池は、地震や大雨など自然災害の多発を背景に、もしもの時の備えとしてのニーズも強まる。
こうした中、EVやPHV(プラグインハイブリッド車)も大容量蓄電池として、注目が高まる。EVの場合、家庭用の蓄電池と比べ数倍~数十倍と大容量のため、いざという時の安心も大きい。
V2Hは、このEVやPHVに充電するだけでなく、家庭用の電源として有効活用できるようにし、電力の自家消費やレジリエンス、夏場の電力需給調整へのニーズの高まりなどを背景に、拡大が見込める。
市場規模は現状で年間数千台規模にとどまっているが、25年度には2万4000台(シャープ推定)など順調な拡大が見込まれる。
V2H市場を開拓してきたのはニチコンで、同社は12年に世界で初めてV2Hを実用化し、19年から第2世代の系統連系型V2Hシステム「EV パワー・ステーション」を発売。国内シェアは90%を占めるなど国内市場をけん引している。
パナソニック(エレクトリックワークス社)は、EV充電コンセントなどEVインフラの普及と合わせ、V2Hシステムの商品力を強化している。
同社では、EVと蓄電池による同時充放電を実現し、電力の自家消費を最大化する住宅用V2H蓄電システム「eneplat(エネプラット)」を23年2月から投入、事業拡大を目指す。
シャープも新たにV2Hシステムに参入。太陽光と蓄電池、EV3連携制御の「Eeeコネクト」システムの名称で3月下旬から発売し、環境関連のビジネス拡大を目指す。