2024.04.03 “歌うAI車掌”が登場 北海道の自動運転バスに アドバンスト・メディア開発

AI車掌「萩音士清平」が停留所周辺の情報などを音声で案内してくれる

AI車掌を導入した北海道上士幌町の自動運転バスAI車掌を導入した北海道上士幌町の自動運転バス

 音声認識ソフトを手掛けるアドバンスト・メディア(東京都豊島区)のAI(人工知能)音声対話アバター技術で構築したAI車掌が、全国の自治体で初めて北海道上士幌町の自動運転バスに導入された。GPS(全地球測位システム)とAIアバターを連携させ、バス停留所と周辺情報の自動音声案内を実現する。

 上士幌町の自動運転バスに導入されたAI車掌は、音声認識とAIによる自然な会話が可能な音声対話アバター「AI Avatar AOI(アバター・アオイ)」をベースに対話機能を構築。「萩音士清平(しゅうおんじ・きよひら)」の名称で、アニメーションなどキャラクター設定全般はコンテンツ制作のトリバルコンが手がけ、デジタルマーケティングのスパイスボックスが監修した。

 音声合成は、声優の収録音声を元にアドバンスト・メディアが開発。キャラクターの表情や仕草をAI自身に選択させることで、乗客から質問を受けた際に考える様子を示したり、笑顔で回答したり視覚的にも自然な対話ができる。

 上士幌町は、少子高齢化に伴う公共交通機関の課題に対応するため、2017年に北海道初となる自動運転バスの公道走行実証を行った。22年12月には、運転自体は人が行い、システムが運転操作の一部を担う自動運転レベル2の定期運行を始め、24年度中に一定の条件下で運転を全てシステムが担うレベル4の実現を目指している。

 一方で、将来的にバスの無人走行が可能となった際、車内での会話が減少してしまう課題に対して、高齢者でも受け入れやすく親しみやすい対話型AIを検討していた。こうした背景も踏まえ、バス利用者に親近感を持ってもらうために、AI車掌が歌のワンフレーズを歌唱したり、上士幌町にちなんだ早口言葉、じゃんけんを行ったりと特別なコミュニケーション機能も用意した。自動運転バスは乗客11人乗りで運行速度は最大時速20キロ未満。

(4日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)