2024.04.09 シャープが生理用ナプキンIoTディスペンサー実証実験 24年度中の製品化目指す

必要な時に必要な人が負担なく使える

シャープが開発した「生理用ナプキンIoTディスペンサー」シャープが開発した「生理用ナプキンIoTディスペンサー」

 シャープは、生理用ナプキンを1枚ずつ取り出せる「生理用ナプキンIoTディスペンサー」と、設置した機器の利用状況を一元管理できる「在庫管理システム」を独自開発した。2024年度中の製品化を目指し実証実験を行っている。

 近年、女性特有の健康課題をテクノロジーによって解決する「フェムテック」への注目が高まっている。

 生理に関しては経済面や環境面などさまざまな事情により生理用品を十分に入手できない「生理の貧困」といった社会課題が顕在化し、支援の必要性が問われている。また、外出先で急に生理が始まった際の生理用品の確保といった特有の困り事も存在する。

 同社が開発した生理用ナプキンIoTディスペンサーは、ディスペンサーのセンサー部に手をかざすと、生理用ナプキンを1枚取り出せる。会員登録などの手続きは不要で、必要な時にすぐ利用できる。

 生理用ナプキンを1枚ずつ取り出せる構造により、衛生面への配慮に加え、大量持ち去りも防止できる。昼用・夜用をはじめ、経血量や使用状況に合わせ、長さや厚さ・形の異なるさまざまな種類の生理用ナプキンに対応可能だ。

 浜松市では昨年10月1日に実証実験を開始。四つの公共施設の女性用トイレ(一部多機能トイレ)の個室内に合計40台を設置した。市が所有する、使用期限(推奨3年)までに活用されない可能性がある防災備蓄品の生理用ナプキンを無料で配布している。

 2月末時点の利用状況は4カ所合計で1万4593枚となった。アンケートでは、「満足」「やや満足」合わせ99%が満足と回答。「1枚ずつしか取り出せないので衛生的にも良い」「利用登録が必要なく、すぐ使えた」「ナプキンがあるという安心感が持て、学校生活が楽になった。生理に対するもともとの不安感が薄れた気がする」などの反響があった。

 利用した理由を聞くと「手持ちがなかったから」が7割でトップ。次いで5割弱が「設置を知り、利用してみたいと思った」と答えた。「金銭的余裕がなかったから」という回答も見られた。

 シャープによると、浜松市での実証実験を機に、公共施設や、福利厚生の向上を検討する企業からの問い合わせが増えたという。(10日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)