2024.04.22 半導体材料で新工場建設相次ぐ 生成AIが需要押し上げ、信越化学やレゾナックなど

半導体材料の増産投資計画

生成AIの拡大を引き金に、先端フォトレジストなど半導体材料の増産投資が活発化している生成AIの拡大を引き金に、先端フォトレジストなど半導体材料の増産投資が活発化している

 生成AI(人工知能)など高性能半導体向け材料の新工場建設の発表が今年に入って相次いている。信越化学工業やレゾナック、東京応化工業といった主要企業が、半導体需要の拡大をにらんだ増産投資に乗り出している。

 信越化学工業は4月、半導体露光材料事業を拡大させるため、4拠点目となる新工場を群馬県伊勢崎市に建設することを決めた。伊勢崎市内に約15万平方メートルの事業用地を取得し、半導体露光材料の製造・開発拠点を建設する。第1期の完工は2026年を目指し、投資額は約830億円を見込む。

 レゾナックは、AI用半導体向け材料の生産能力を大幅に増強する。約150億円を投じ、AIなど高性能半導体向けの絶縁接着フィルムや放熱シートの生産能力を従来の3.5倍から5倍に拡大する。増産するのは、高性能半導体向けの絶縁接着フィルム「NCF」および放熱シート「TIM」。NCFを生産する五井事業所(千葉県市原市)とTIMを生産する山崎事業所・桜川(茨城県日立市)で、それぞれ敷地内に新たな建屋を建設する。

 東京応化工業は、新工場建設に向け、韓国で工場用地の取得を決めた。取得する土地面積は5万5560平方メートルで、価格は約31億円。新工場では、自動化、省人化によるスマートファクトリー化を推進し、既存の韓国・仁川工場(仁川広域市)との相乗効果を図り、将来的な事業拡大に備える。27年に着工し、28年からの操業開始を予定する。

 さらに、熊本県菊池市に高純度化学薬品を製造する新工場を建設中で、24年度上期の竣工、25年度上期の稼働を予定。郡山工場(福島県郡山市)に国内最大のフォトレジスト新製造棟の建設も計画しており、24年度下期に着工、26年度下期の稼働を予定する。

 ADEKAは2月、次世代半導体向け新材料の量産体制を確立するため、韓国子会社「ADEKA KOREA CORPORATION」の全州第3工場内に新製造棟の建設を決めた。所在地は全羅北道で、24年9月の完工を予定する。これまで先端半導体材料は主に全州第2工場で製造してきたが、新設する製造棟で、次世代のDRAMやロジック、NAND向け材料を量産する予定だ。

 WSTS(世界半導体市場統計)は、24年の半導体世界市場は前年比13.1%増に拡大すると予測。米調査会社ガートナーも、24年の半導体市場について前年比16.8%増の6240億ドルを予想している。生成AI市場の拡大が成長を押し上げていく見込みだ。

(23日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)