2024.04.30 シャープ、転倒リスク計測会を開催 予防ソリューション実用化へ
転倒リスク計測で自身の身体の状況を知るきっかけになる
シャープは、成長戦略の一環として、デジタルヘルスケア領域での新規事業創出に力を入れている。大阪府堺市と横浜国立大学発ベンチャーのUNTRACKEDの協力のもと、今年4月から6月にかけ堺市北区の商業施設で3回にわたり開催される健康イベント「転倒リスク計測会」で、日常生活における転倒予防に関する検証を実施する。
今回の検証は同社とUNTRACKEDが共同開発した「転倒予防ソリューション」を活用して実施する。
UNTRACKEDの立位機能検査装置「StA²BLE(ステイブル)」をベースに両社で開発した転倒リスク計測システムにより、参加者の転倒リスクを計測する。
この転倒リスク計測システムでは、人が何かに触れていると安定する「ライトタッチ効果」の応用により、壁に手を添えている状態/添えていない状態を仮想的に作り出し、指先から足裏に感覚を切り替える速度を測定することで、転倒リスクを算出する。
指先に測定器を装着し、立位のまま目を閉じた状態で手を振る動作を約1分間行うだけで計測が完了する。
参加者は、改善プログラムに基づき自宅で簡単にできるトレーニングに取り組み、計3回のイベントを通じてトレーニングの継続率や転倒リスクの改善率などを確認することで、改善プログラムの効果を検証する。
第一回目となる「転倒リスク計測会」は、4月23日に大阪府堺市北区の商業施設「フレスポしんかな」内に設けられた特設会場で実施され、当日は想定を上回る47人が計測を体験した。
参加者は、自身の転倒リスクの計測結果がわかり、またこれに基づいた効果的な対策について、看護士から専門的なアドバイスを受け、転倒予防への意識を深めた。
堺市社会福祉協議会北区事務所の藤本浩一係長は「我々としては介護予防を重視しており、さまざまな啓発活動に取り組んでいるが、今回のイベントで自身の身体の状態に気付いていただき、介護予防への関心を深めてもらいたい」と話す。
計測会に参加した女性(89歳)は「買い物に来て、やっているのを見て参加した。普段から身体には気を付けている。(計測結果に基づくアドバイスも得られ)参加してよかった。元気でこれからも頑張りたい」などと話していた。
シャープ デジタルヘルスケア事業推進部の三村晋也部長は「今後、企業労災予防や、地域と一体で高齢者の介護予防など、より浸透を深めていく。測定により自分の体力や運動習慣の必要性などへの認知を広げたい」と話す。(5月1日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)