2020.05.13 【ルームエアコン特集】メーカー各社が快適性・清潔性を重視
熱中症対策のためにもルームエアコン早期点検、買い替え提案が求められる
ルームエアコン商戦がいよいよ本番を迎える。夏本番の天候次第で状況は変わるといえ、このところ夏場の酷暑が定着していることから、熱中症対策のためにルームエアコンは必需品となり、活発な商戦が見込まれる。
今年は、新型コロナウイルス感染拡大がどう商戦に影響を与えるか不透明だが、巣ごもりが定着する中、室内の快適性、清潔性はより重要なテーマで、早い段階で見込み客へのアプローチが求められそうだ。
ルームエアコンは、昨年度は消費税増税後の反動や暖冬傾向が続き、下期は前年を割り込んで推移した。
日本冷凍空調工業会(JRAIA)のまとめによると、20年3月単月の出荷台数は90万5000台(前年同月比90.6%)となり、6カ月連続のマイナスとなったものの、19年度は957万3000台(同97.5%)となり、5年ぶりのマイナスとはいえ、過去最高を記録した18年度に次ぐ出荷台数となった。
昨夏の場合、天候不順の影響があったものの、梅雨明けからの猛暑や消費税増税前の需要増もあり、旺盛な需要となり、今年も引き続きこの傾向は続くとみられる。台数ベースで上期がどう推移するかは天候要因、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで不透明ながら、買い替え、買い増し需要は堅調に見込めるだろう。
こうした中、今年の場合は新型コロナ終息が見えないため、積極的な販促施策が取りづらく、また機種によってはサプライチェーンの問題から供給に支障が出るものもあるなど、例年にないハンディを背負いながら商戦に臨むことになる。
従って、動ける範囲で、前倒しでの買い替え・買い増し提案が、より求められる。
ルームエアコン早期提案
新型コロナウイルス感染拡大により、政府の緊急事態宣言が5月末まで延長される中、今年は通常の活動がやりづらいところが販売店の悩みどころだ。ただ、それぞれの販売店では動きが制約されている中でも、できる限りの顧客接点活動に力を入れている。
地域店では、従来の顧客訪問をポスティングによる情報提供に切り替えたり、あるいは電話、ファクス、メール、Webの活用など、この時期必要な情報提供、顧客接点強化に努力する店は多い。
この時期、顧客にルームエアコンについて発信すべきは、エアコンの点検、早めの買い替え提案となる。特に今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響が尾を引き、緊急事態宣言が終了しても、外出自粛の動きが持続する可能性もある。
一方、今年の夏も猛暑となる可能性があり、在宅の時間が増える中で、高齢者の熱中症対策は重要なテーマとなるだろう。
ダイキン工業が、熱中症に関する調査を実施したところ、過去に熱中症を経験した人の34%が「室内で」と回答したという。
消防庁の調べでも、熱中症発生件数は、住居が38.6%と最も高く(19年夏の場合)、年齢別では65歳以上の高齢者が半分強を占めている。
さらに、東京都福祉保健局の「平成30年夏期の熱中症死亡者(屋内)のクーラー使用状況」では、死亡者の約8割はクーラーを使用していなかったというデータもあり、室内での熱中症の危険性が高いことがうかがえる。
こうしたことから、ダイキン工業ではユーザーに対して、早い時期からエアコン試運転を促すキャンペーンに取り組んでいる。実際に夏本番を迎えて、エアコンが不具合となっても、商戦の集中期なので早期対応が図りづらいこともある。
同社によると、夏本番前にエアコンの試運転をする人は36%にとどまっているとし、6割以上の人が〝ぶっつけ本番〟でエアコンを使うことになる。自宅で過ごすことが多くなりそうなこの夏、いざエアコンを使おうとしたら故障していた、となると危険な状況が生じる。
この時期、顧客に対してエアコン点検、買い替え促進の啓発に取り組むことが、重要な施策となっている。