2020.06.22 最新トレンド・レクチャー第5回「Web会議システム」
Web会議システム
新型コロナウイルス対策や働き方改革でテレワークが推奨される中、自宅にいながら会議に参加できるWeb会議システムが活用されている。
しかし、こうした働き方は、これまでも、中堅企業や大企業では、今までテレビ会議システムを活用してきた歴史があったはず。
いったい何が違うんだろう? つぐみは先輩カゲに聞いてみた。
さっそくですが「Web会議システム」って何ですか?(テレワーク中)
だから、今話してるこれなんだって!
そうなんですか??
でも、ウチの会社にはこれまでにも「テレビ会議システム」がありましたよね?
あれはテレビでやるから「テレビ会議システム」。
これはWebでやっているから「Web会議システム」というんだよ。
なんだよ、疑っているのか?
先輩に聞いたのが間違いでした。
ドクターD、いらっしゃいますか?(呼び出す)
はいはい。
なんじゃ、また君らか。
「Web会議システム」と「テレビ会議システム」の違いって何ですか?
両方とも遠隔地にいる者同士が、顔を合わせながらコミュニケーションをとれるようにするための手段のことじゃ。両方とも「オンライン会議」と言ってもいいじゃろう。
それみろ、オレが言った通りじゃん。
テレビとWebの違いなんだって。
うぐぐ……。
まあ、基本的にはカゲくんの言う通りだが、使い勝手や目的がちょっと違うんじゃ。
テレビ会議は、複数の会議室をつなぎ大勢の人数に意思や情報を伝達・共有したい時に使いやすい。
例えば、東京と大阪で役員の会議をしたり、社長が全国の支店長を集めて会議を開いたりするイメージじゃな。
テレビドラマなんかでありそうなシーンですよね。
Web会議システムは、むしろ少人数やグループで打ち合わせしたり、複数人数で一緒に作業したりする時に使いやすい。資料を画面に映しながら会議ができたりするからじゃ。
なるほど。それぞれの仕組みは違うんですか?
テレビ会議システムは、専用の機材や多地点を接続する装置、専用の通信回線を設置することが多い。だから、社内の中に「テレビ会議室」を作る会社もある。
ただ、専門の業者に依頼して設定してもらうことになるから、当然、費用もかかる。その代わりに、音声や映像などの品質はおおむね安定している。
テレビ会議に比べると、Web会議システムはすぐ始められますよね。
そうじゃな。
ほとんどのWeb会議システムは、通信環境とパソコンやスマホがあれば、ブラウザで専用サイトにアクセスしたり、アプリをインストールしたりすれば、すぐ始められる。
それに無料でスタートできるものがほとんどじゃ。より便利な機能を使いたい時は、有料版を利用することになる。
そのため、コストパフォーマンスに優れているのはWeb会議システムといえるじゃろう。ただし、課題はある。
例えば、音質や画質などじゃ。
確かにWeb会議システムは、映像がカクカクしたり、音声が聞きづらかったりすることがありますよね。
うむ。
無線のWi-Fiなどでは動作が安定しないことがある。なので、わしがオンライン講演する時は、有線のLANで安定した回線を使うことにしておる。
そうなんですね!
でも、おかしいな~。ウチの会社はしっかりした回線でWeb会議をしているんですが、カゲ先輩の姿が突然見えなくなったりするんです。
ギクッ!
い、いやだなあ、ドクター。
今度シメてやる!
もう一つ、セキュリティの問題もある。最近は米国のWeb会議システム大手で、情報漏えいが起きたことがニュースになった。これからは、安全面にも注意が必要といえる。
便利だからといって、気軽に使うと思わぬ落とし穴があったりするんですね。気を付けます。
まあまあ、テレビ会議システムとWeb会議システム、どちらがいいという話ではないが、今後テレワークで在宅勤務の機会が多くなれば、Web会議システムの出番が、ますます増えそうじゃな。
ただ、そのためには、先ほどから言っているように、「しっかりした通信回線」と「雑音が入りにくく、声を出しても差し支えない環境」。できたら「ある程度、性能のいいマイクやスピーカ」が欲しいものじゃな。
近ごろ買ったノートパソコンならまずWebカメラやマイクなどは備わっていると思うが。それから、セキュリティにも注意することじゃ。
そもそもテレビ会議システムは、出張コストの節約や、出張にかかる時間を減らすために導入が進んだツールじゃ。Web会議システムも同じく出張やセミナーにかかるコストや時間を削減できる。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業では今年の新入社員の研修をWeb会議システムで行っているようじゃ。会場費なども節約できるしな。しかしな、そうすると、ワシのような講師には課題が出てくるのじゃ……。
ドクターにですか?
うむ。
参加者を会場に集めてやっていたようなこれまでの対面方式の研修では、雰囲気を盛り上げたり、身ぶり手ぶりをしたりといった、それなりのテクニックがあったのじゃの。
しかし、Web会議システムではそんな技は通用しない。純粋に「話す内容」が、良いか悪いかが問われる。
一言でいえばごまかしが効かんようになるわけじゃ。
なるほど、Web会議システムを使う時には、今までとは違ったスキルが求められるかもしれないのですね。
ドクターのインチキがバレてしまうってことね(笑)。
(退出)
バカッ、ドクター怒って退出しちゃったじゃないか。
カゲ先輩が、ヒドいこと言うからですよ。
お前だろ!
しかし、こういう時には謝りにくいんだよなあ。オンライン会議は……。
イラスト ⓒくり ひろし