2020.03.30 最新トレンド・レクチャー第2回「クラウド」
クラウド
おはようございます!
さっそくですが「クラウド」って、どこに行けば見られるのでしょうか?
そんなの君らの頭の上に浮かんでいるだろうが…。
また、わけのわからんことを聞きに来たわい。
ドクター、そうじゃなくて、ですね。
ネットで使うものですよ。どっかの会社の倉庫にあるんですよね?
君らはまったく……。
「クラウド」とはそもそも「クラウドコンピューティング」というのじゃ。
インターネット経由でデータやアプリなどのコンピュータ資源を共有する仕組みなんじゃ。
それじゃ見ることなんてできないのですね。
しかしドクター、どうして、そんなことができるようになったんですかね?
ぼくが入社したころは会社にサーバーがあって、そこに全部データをしまいこんでいましたよ。
ワシなんて、データをフロッピーディスクに入れて持ち歩いておったぞ。1.44MBしか保存できなくて死んだわ。その後はMO(エム・オー)といってな……。
ドクター、関係のない昔話はいいです。
むむ。
まあ、それはネットワークが高速になって常時接続が当たり前になったことと、「仮想化技術」のおかげが大きいじゃろうな。
仮装化技術?
時期的にはハロウィンっていうよりイースターじゃね?
それは仮装!
仮想だっちゅうの!(ドス・バキッ)
ヒえぇ…
×●△☆※…
「仮想化技術」とは、
1台のコンピュータで、何台もの仮想コンピュータがあるかのような働きをさせる技術じゃ。
逆に複数台のコンピュータをあたかも1台であるかのように利用することもできる。
この技術によって、われわれは、クラウドサービス事業者が持っているコンピュータの資源を必要な分だけ柔軟に使えるようになったのじゃ。
それじゃ私たちからは、インターネットの先にある自分が利用しているコンピュータの形なんて見えないのですね。
そうじゃな。
見えづらい全体の仕組みを、雲のかたまりのように表現したことから、「雲=Cloud(クラウド)」という名称がついたという説がある(注:語源には諸説あります)。
それで、クラウドにはどんな種類があるのですか?
おお。
やっと記者らしいことを聞いてきたな(笑)。
まず、「SaaS(サース:Software as a Service)」じゃ。
これはユーザーに一番おなじみだと思うぞ。電子メールやグループウェアなどのソフト機能の提供を行うサービスじゃ。
次は、「PaaS(パース:Platform as a Service)」。これは主に企業が使うものじゃな。
アプリを実行するためのプラットフォームを提供するサービスじゃ。
3つ目は「IaaS(アイアース:Infrastructure as a Service)」。
これも企業用かな。クラウドでハードウェアやインフラ機能の提供を行うサービスになる。
それじゃ、私たちは日々、そうしたクラウドサービスを使って仕事をしたり、楽しんだりしているのですね。
例えば、それまではソフトウェアを購入してパソコンにインストールして、さらに認証されないと使えなかったようなサービスがあったりした。
しかし、クラウドで提供されるアプリなどのサービスのおかげで、ネットに接続していれば、クロームなどのブラウザ通して、すぐに、しかも安価に使えるようになったことは大きいじゃろうな。
なるほど、新しいビジネスモデルができたわけですね。
そうじゃ。
今いったようなクラウドサービスを最初は無料提供して、気に入ったらさらに高機能な有料バージョンに乗り換えてもらい、月額料金を支払ってもらうというビジネスモデルが出てきたわけじゃ。
いわゆるサブスク(サブスクリプション=定額制)ですか。何か、いろいろお金払っちゃって心配です。
ドクター……。ぼくも心配です。
どっか知らない雲の上に自分のデータを預けているわけですよね?
確かにそうじゃ。
しかし、考えてみたまえ。
カゲくんのきったない安アパートにおいてあるパソコンからデータを盗み出すのと、がっちり警備されたセキュリティ万全のデータセンターからデータを盗み出すのとでは、どっちがむずかしいと思う?
先輩の部屋の方が1000倍盗み出しやすそうです!
ヒドい……。
とはいえ、心配な気持ちもわかる。
そこでもうひとつ覚えて欲しいのが、クラウドには「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2種類があるということじゃ。
どう違うのですか?
大まかに言うと、「パブリッククラウド」は、君たちがふだん使っている月々定額の費用で使っているクラウドサービスじゃ。
これは不特定多数が利用するものなんじゃ。便利だが機能は標準的なものになる。
しかし、これだけでは「もっと自社に向いた機能が欲しいし、不特定多数が使うサーバーだと嫌だな」という企業もあるじゃろう。
そうなると、自社専用のクラウド環境を構築することになる。これが「プライベートクラウド」なんじゃ。
2つの“いいとこ取り”をしたハイブリッドクラウドなんてものもある。
何となくわかってきました!
どこにも置いてないこともわかりました。
クラウドには、よい面も悪い面もある。ただ、わが国のように災害が多い国では、万が一の時のことを考えておくべきじゃ。
もし、災害でパソコンやサーバーが壊れたり、水浸しになったりしても、クラウドにデータが保存されてさえいればデータは助かる。そうなれば仕事を再開しやすい。このメリットは覚えておくべきじゃな。
また、データが置いてあるデータセンターは、地盤が安定したところに、厳しい耐震・免震構造を守って建設されている。万が一の停電の時のために非常用電源も備えられている。そうなると、カゲくんのアパートとどっちが安全だろうかの~?
ドクター、またそれを蒸し返しますか……。
ドクター、ありがとうございました!
また聞きに来ます!
うむ……、まあまあ待っておるぞ。
イラスト ⓒくり ひろし