2024.10.10 「伝統と革新をエピソードとともに」 ニコンミュージアム、12日にリニューアル

27メートルにわたって展示された歴代カメラ

インダストリーエリアに展示された合成石英ガラスインゴットインダストリーエリアに展示された合成石英ガラスインゴット

9日に開催したオープニングセレモニーのテープカット9日に開催したオープニングセレモニーのテープカット

 ニコンは、同社の製品や技術を紹介するニコンミュージアム(東京都品川区)を12日にリニューアルオープンする。9日にはオープニングセレモニ―を開催し、德成旨亮社長や森澤恭子品川区長らが出席。伝統と革新をエピソードとともに紹介するミュージアムの新たな門出を祝った。

 ニコンミュージアムは、同社の100周年事業として2015年に開館。7月29日の港区港南から品川区西大井への本社移転に伴い、新本社内に移設するため、約7カ月間休館していた。館内面積や展示点数を増やすとともにコンセプトを一新し、リニューアルオープンを迎えた。

 徳成社長は「リニューアルにあたり、コンセプトを『伝統と革新の歴史をプロダクトとエピソードとともに体験してもらう』とした」と語った。100年以上の歴史の中でブランド力を誇るカメラなどの伝統と、国産初の半導体露光装置の開発などに裏付けられる革新性を表現する展示で構成。それらを製品や技術の展示だけではなくエピソードを交えて見られるようにした。

 館内は「エントランス」「インダストリ―」「コンシューマー」「シアター」の4つのゾーンから成る。展示点数は約1000点から約1300点に増加した。

 コンシューマーゾーンでは、同社のカメラを年代順に27メートルにわたり展示し、カメラの歴史を一覧できるようにした。リニューアル前は15メートルで、館内面積とともに拡大した形だ。

 インダストリーゾーンでは、「ニコンの技術のシンボル」である合成石英ガラスインゴットを中心にさまざまな業界にまたがる製品や技術を展示。主にBtoB(企業)向けで一般には分かりにくい製品も多いため、「見る、映す、作る、測る」をテーマに、映像や実演を通して少しでも親しみが持てるように工夫を凝らす。

 「ミュージアムのコンセプトを改めて考えたとき、技術や製品だけでなくわれわれのアイデンティティを見せる場にすべきだと考えた」。こう語るのは中島良允館長だ。

 ニコンのアイデンティティを表現するため、展示する技術や製品にミュージアム公式インスタグラムにアクセスできる2次元コードを添付。製品や技術に関する歴史やエピソードを読めるようにした。

 新本社のある西大井はニコンが長年拠点を構えてきたゆかりの地。徳成社長は「ミュージアムにより地域へ貢献していきたい」と話した。

 ミュージアムは、新本社のオープンスペースを含め、周辺住民も気軽に訪れられる場としていきたい考えだ。ファンも多いニコンのカメラを目当てとした海外からの来客も見込めるため、「インバウンドの起爆点」(徳成社長)としての期待や、科学教育の一環としての利用も想定する。

 森澤区長は「区内の小学校との連携も期待したい」と述べ、今後社会科見学などでの利用も検討していくという。