2020.06.26 【オフィスソリューション特集】MPS環境の見える化などニューノーマル時代に強み

 成長を続けてきたマネージドプリントサービス(MPS)市場も、新型コロナウイルスの影響で先行きが不透明になっている。

 国内市場でベンダーシェアトップの富士ゼロックスのエンタープライズドキュメントソリューション事業本部・小松誠サービス推進グループ統括グループ長は「出力環境の見える化、ガバナンス、コストコントロールなどの観点から、MPSはニューノーマル(新しい日常)時代には強みになる」と見る。

 富士ゼロックスは、国内で最初にMPSサービスを開始し、多くの実績を持つ。

 IDCジャパンの調査では、18年の国内売上げシェア(19年は未発表)は59.1%となり、10年連続で圧倒的なトップシェアを維持している。

高付加価値化

 MPSは、企業のプリンティング環境の最適化を実現するアウトソーシングサービスとしてスタートしたが、現在ではIT機器のプリント環境の最適管理のレベルから、より高付加価値を提供するサービスへ進化してきている。

 同社は、次世代型MPS「Next Generation MPS」で、省エネ大賞の経済産業大臣賞を受賞している。

 MPS導入効果は、アセスメントによって業務プロセスを含めた出力関連コストの把握ができ、全社規模での最適化を実現できることにある。

 「出力に関わる業務をアウトソーシングすることで、コア業務に集中、生産性の向上を図れる」(小松統括グループ長)メリットがある。

 昨今では「コンプライアンスとセキュリティなど、ガバナンス強化や環境負荷軽減などサステナビリティの面から、MPSを導入する傾向が強まっている」と分析する。

 リコーは「MPS出力機器見える化サービス」を提供。

 企画・立案サービス、活用・運用設計支援サービス、構築・維持支援サービス、さらに情報収集・分析まで多彩なMPSのサービスメニューを用意。国内だけでなく、グローバルに事業展開している。

 キヤノンは全世界共通のマネージドサービス「キャノン・マネージド・ドキュメント・サービス」を、また、コニカミノルタは出力環境最適化サービス「コニカミノルタ OPS」を全世界で提供している。

 キヤノンマーケティングジャパンの岡田大地課長代理(BPO統括センターBPO企画部BPO企画第二課)は「複合機(MFP)、プリンタのプリント実績を分析することで、オフィス業務の課題も見えてくる。MPSを当社のオフィス事業に反映させていくことが重要」と話す。

市場規模640億円

 国内のMPSの市場規模は、約640億円(18年実績、IDCジャパン)。18-23年の年平均伸長を4.8%と予測している。大手企業が導入を先行したが、今後は中堅・中小企業への普及が期待されている。