2020.06.26 【オフィスソリューション特集】産業印刷テキスタイルなど拡大、大判IJプリンタに注力

大判プリンタ市場は近年、特に成長が顕著

 サイネージや衣料に印刷するテキスタイルなど、産業印刷が拡大している。特に大判プリンタ市場は、CAD用途からグラフィック用途など幅広い需要がある。

 業界団体のビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)では、大判インクジェットプリンター部会を発足させ、市場拡大に注力している。また、産業印刷事業を拡大するため成長戦略を強化している。

 事務機各社が、サーマル技術やインクジェット技術を活用したサイネージ、テキスタイル、ラベル印刷などの産業印刷分野を新たな成長分野と位置付け、事業戦略の強化を活発化させている。

 基盤のオフィス事業では、収益重視の戦略を鮮明にすると同時に、オフィス、商業印刷に続く第三の柱として産業印刷事業の成長戦略を加速させる。

 セイコーエプソンは、成長戦略事業の一つであるプロフェッショナルプリンティング事業で、商業・産業インクジェットプリンティング(IJP)事業戦略を発表した。

 プリントヘッド外販ビジネスを除く完成品ビジネスで、現在、1000億円超の売上げ規模を、25年度までに2倍以上を目指す計画だ。

 事業領域を大判プリンタによるファインアート、写真などのフォト/プルーフ、CAD、屋内外看板、ポスターなどのサイネージ、布へ印刷するテキスタイル(捺染など)、さらに食品・飲料などへのラベル印刷分野と捉え、成長戦略を推進する。

 テキスタイルやラベル市場のデジタル化はまだ1、2割程度にとどまっており、この分野のデジタル化を強化する。

 同社は、デジタル捺染ビジネスのグローバル展開を加速することを目的として、デジタル捺染の前処理から印刷、後処理までの全工程の設備を備えたテキスタイル・ソリューションセンター「TSCアジア」を、富士見事業所(所在地:長野県富士見町)に開設している。

 同施設は、イタリアのコモ地域に設立したテキスタイル・ソリューションセンターと同じく、デジタル捺染の研究開発を行うとともに、国内を含むアジア地域のデジタル捺染への取り組みを支援する役割を担う。

 リコーは、欧州市場向け感熱紙の欧州サーマル事業強化を図る。新たに約30億円を投資し、フランスの生産拠点「リコー インダストリー フランス」のコーター(塗布工程を行う設備)の生産能力を2倍に増強し、7月から増産を開始する。

 同社は、成長戦略の一環として、サーマル事業の収益拡大と積極的投資を打ち出している。

 OKIデータは、国内の食品、飲料、物流業界をターゲットとして、世界初の幅狭カラーLEDラベルプリンタの販売戦略を強化している。

 同社独自のLED技術を生かし、インダストリ戦略を強化する。19年の国内のラベル市場は約6400億円規模。過去5年で年間平均3%の堅調な伸びを見せており、新たな成長分野に位置付ける。

 大判プリンタ分野では、メーカー各社が製品戦略や関連事業を強化する一方で、業界団体のJBMIAでは、大判インクジェットプリンター部会を発足させて、業界を挙げて市場づくりに乗り出している。

 同部会には現在、キヤノン、コニカミノルタ、セイコーエプソン、リコー、OKI、ブラザー工業の各社が参加している。

 大判プリンタは、CAD用途やグラフィック用途で根強い需要がある。デジタル化の流れが建築や土木、製造現場で新たなニーズを引き起こしており、大判プリンタによるCAD図面の出力機会も増えている。CAD図面のカラー化、図面のデジタル化などのニーズが高まっている。