2024.11.22 【はんだ総合特集】日本アビオニクス 「ボイドレスはんだ付け」 真空引き不要でボイド低減

新技術「ボイドレスはんだ付け」の接合装置

 日本アビオニクスは、パルスヒート、超音波振動、抵抗溶接、レーザー光の接合4工法を保有するのが強み。強度や品質、コストなど、顧客の接合ニーズに合わせたソリューションを提供できる。

 新たに開発した「ボイドレスはんだ付け」は、パルスヒートと超音波接合の工法を融合した技術。ボイド(気泡)低減においてギ酸や水素、真空チャンバーを用いず、パワー半導体の熱マネジメントの課題を解決する。

 新技術では、パルスヒートの瞬間加熱により高品質なはんだ付けを行い、超音波振動で酸化膜とボイドを除去する。ボイドの発生を抑制し、パワー半導体の熱抵抗低減、接合強度・接合信頼性の向上を実現。真空引きを不要とし、大気中での接合が可能なため、装置の簡素化によるコスト削減、時間短縮などによる生産性向上を促す。真空リフローに必要なギ酸や水素を用いないため、安全で環境に配慮した手法となる。

 パルスヒートと超音波を使った装置・機構、変位変化により、はんだが溶けたことを検出して超音波を開始するための技術、超音波ヒーターステージなど、3件を特許出願中だ。

 従来のSi(シリコン)パワー半導体から次世代SiC(炭化ケイ素)パワー半導体への移行が進み、SiCパワー半導体はxEV(電動車)関係を中心に採用が増加すると予測される。新技術の対象分野はxEV、データセンターや産業機器の電力変換システムなどとなる。

 10月には三つの展示会で新技術を披露した。半導体メーカーをはじめ、自動車部品や電子機器のメーカーからも関心を集め、想定を上回る計80件程度のリード(見込み顧客)を獲得した。真空リフローを用いずに短時間での接合可能という点への評価が高いという。

 新技術の製品化を進めており、市場投入は2025年を予定する。