2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社 25年の経営戦略 明光電子 大島祥嵩社長

大島 社長

専門商社と便利屋の両面を生かす

 明光電子の2024年8月期は売上高86億8600万円で着地した。同社は国内の産業機器メーカー向けに特化して事業を展開。産機顧客の在庫調整を踏まえ、25年8月期の予算は保守的に立てている。

 同社は製品開発を支援する「専門商社」の役割と、一社で基板上を網羅して何でもそろえる「便利屋」の顔を持つ統合商社だ。大島祥嵩社長は「お客さまの開発自体は活発化しており、本来の開発促進業を果たす」と話す。

 現在の売れ筋の一つに、電力センサーモジュールとIoTゲートウェイを組み合わせた電力見える化ソリューションがある。工場の環境配慮や省エネ対策のニーズに加え、既存のインフラを生かしながら後付けできる利便性が好評だ。

 今後の注力商材として、バッテリーレス液体検知センサーを活用したシステムを水害インフラ、漏えい検知システムなどにPRしていく考えだ。

 ここ数年、新規開拓で実績を重ねており、軸足は深耕に移した。プライベート展示会を活発化させたのは深耕策の一つで、客先の開発構想段階から統合的に寄与できるよう、特徴的な先端技術や同社の扱う一流の主要メーカー群の技術を客先ごとにカスタマイズして展示している。

 25年は統合商社の仕組み、開発促進業の機能を強化する。大島社長は「1社ごとに集中して統合商社として深く付き合えば付き合うほど、お客さまにも仕入れ先にも喜んで頂ける。社員も誇りがもてる。まだ伸びしろがある。新規先、既存先にかかわらず、専門商社と便利屋の両面を生かしていく」と説明する。

 同社は1979年に福岡市で創業した。東京から遠く、市場規模が小さい中で成長してきた歴史があり、統合商社の機能が磨かれてきた。最初から一流で網羅すると決めていた。築き上げた仕入れ先や協力会社とのネットワークは財産だ。

 大島社長は「社員には自社の歴史・差別化を前提にお客さまと向き合い、お客さまの歴史を理解、お客さまの差別化への寄与をすべく深く長くお付き合いしてもらいたい。それでこそ、面白さや、よいアイデアも生まれてくる」と述べた。